小型化・集密化する電子デバイスを支える
熱輸送・冷却技術の進化と新展開
- 進化するサーマルソリューションの技術開発動向・応用展開と製品化事例 -
発刊日 | 2021年3月24日 |
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体裁 | B5判並製本 183頁 |
価格(税込)
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ISBNコード | 978-4-86428-241-3 |
Cコード | C3058 |
高性能化・軽薄短小化・データ通信の高速化と通信量の増加に伴い、スマートフォンやミニ基地局をはじめとする小型電子機器の高発熱量、高発熱密度化への対策技術に進化が求められています。今後の熱対策技術は「材料技術とデバイス技術、両者の融合」「旧来技術の見直しと再検討」「新しい熱輸送キャリアの発見」などにより、従来の熱輸送性能、熱伝達率を大きく超えていくことが必須となります。
本書では、こうした『熱対策技術=熱輸送・冷却デバイスの小型・薄型・高性能化』に向けた研究開発の最前線情報をまとめました。
◎更なる高機能化を目指し進化するヒートパイプの開発動向とその高機能化に向けた取り組みとは
自励振動型 / ループ型の開発とその薄型化、並列細管熱輸送デバイスの開発動向を網羅。
◎沸騰冷却技術の原理と開発動向、実用化に向けた課題から、更なる性能向上への研究事例を掲載
電界印加による沸騰熱伝達の高機能化・高効率化技術の開発動向を解説。
◎磁性流体の特性・物性の基礎から、サーマルマネジメントデバイスへの応用展開、開発事例を紹介
事例として、電源フリーの磁性流体循環熱輸送デバイスの開発動向を掲載。
◎電気流体力学(EHD)現象を利用した熱輸送デバイスの原理・開発動向とその応用事例を解説
EHD 流動の動作原理を徹底解説。液単相流や気液二相流での応用についても紹介。
◎表面フォノンポラリトンの発見と、その熱伝導性を熱輸送・冷却技術に利用する取り組み事例
新しい熱輸送現象として注目される「表面フォノンポラリトン」の原理とは。
◎【製品分解写真から見る】5G対応スマートフォンおよびミニ基地局の放熱対策部品の事例
次世代通信規格「5G」対応に伴う電子デバイスの放熱部品の変化を実際の製品分解写真をもとに解説。
概要
電子デバイスの小型化に反比例して増大し続ける熱をどのように輸送し・冷やすのか。
実用技術の進化から、次世代の熱輸送・冷却技術の最新の開発動向を網羅した一冊です。
▼実際の製品に見る熱対策部品の現状
◎4Gと5Gでスモールセルの放熱部品はどう変化したのか?
5Gスマートフォン(Xperia 5-II、Arrows 5G F-51A)、ミニ基地局(Huawei社製スモールセル)の
分解写真から見る、放熱部品の現状とは。
▼超薄型サーマルソリューションの開発動向
◎スマートフォン、タブレット端末の「一時的な急発熱」に対して必要とされる「急速熱吸収材」の研究例
◎カーボングラファイトシート/超薄型ヒートパイプ/ベーパチャンバ/ループヒートパイプ(RHP)/
自励振動型ヒートパイプ(PHP)の等価熱伝導率比較と5G通信用端末に対応するための開発指針。
◎小型・薄型・高熱流束化・大容量化・長距離化が可能となるRHPの研究動向。
小型電子機器向けの10件の研究例を解説。
◎小型電子機器への搭載にむけたマイクロPHPの研究開発動向と、性能向上のための作動流体の工夫とは。
◎PHPの一種で、高フィン効率を有するヒートシンク、ヒートスプレッダーへの応用が期待される
相変化型並列細管熱輸送デバイスの開発動向を掲載。
▼再び脚光を浴び始めた沸騰冷却技術
◎1980年代のスパコン開発で注目された沸騰冷却技術。実用化に向けてクリアしなければならない課題、
伝熱性能を改善するための方針とは。
◎伝熱面コーティングの工夫や、電界印加による電気流体力(EHD)効果に基づく沸騰熱伝達の促進。
▼今後の応用普及と低コスト化が期待される磁性流体
◎感温磁性流体を用いた熱輸送デバイスの仕組み、構造、小型化に向けた研究例。
◎溶媒、粒子分散、粘度調製、マイクロカプセル等、磁性流体の改良
◎PC、サーバーCPU、プロジェクターの光学素子やLED、通信用モジュールの冷却、車載バッテリー・
ECU・PCUなどの冷却や排熱回収用途への応用が期待される磁性流体駆動式冷却デバイスの開発例
▼集積回路の冷却から熱電発電・高断熱ガラス・塗料まで、幅広い用途への展開が期待される新技術
◎薄膜表面に薄く存在する表面フォノンポラリトンと呼ばれる電磁波。
この電磁波をキャリアとした新たな熱輸送ナノテクノロジーの展望。
【目次抜粋】 第1章 小型化する電子デバイスと求められるサーマルマネジメント 第2章 ヒートパイプの開発動向 第1節 ヒートパイプの基礎と超薄型サーマルソリューションの開発動向 第2節 自励振動型ヒートパイプの開発動向 第3節 高機能ループヒートパイプ開発動向 第4節 極薄ループヒートパイプの開発動向 第5節 相変化型並列細管熱輸送デバイスの研究開発の動向 第3章 沸騰冷却技術の開発動向 第1節 沸騰冷却技術の基礎と開発動向 第2節 電界印加による沸騰熱伝達の高機能化 第4章 磁性流体の開発動向 第1節 磁性流体の基礎と開発動向 第2節 電源フリーの磁性流体循環熱輸送デバイスの開発動向 第5章 電気流体力学(EHD)現象を利用した熱輸送デバイスの開発動向 第6章 表面フォノンポラリトンによる熱輸送技術 第7章 5G 対応スマートフォンおよびミニ基地局の放熱対策部品の事例 |
各章の内容紹介 <本文抜粋>
「第1章 小型化する電子デバイスと求められるサーマルマネジメント」
本書は,近年の情報化・ネットワーク社会の進展に伴う情報通信デバイスを含む電子デバイスの小型化・高性能化,さらに今後のIoT技術の広がりと共に大きな問題となる各種デバイスの発熱・放熱問題解決の一助となりうるサーマルマネジメント技術についてまとめたものである。具体的には従来から実用化が進められ,近年さらなる進化を遂げている「ヒートパイプの基礎と開発動向」,「沸騰冷却系の基礎と開発動向」,「磁性流体を用いたデバイスの基礎と開発動向」および「電気流体力学(EHD)ポンプを用いたデバイス」についてまとめている。加えて昨今,新しい熱輸送現象として注目を集めている「表面フォノンポラリトンによる熱輸送現象」に基づく新たな試みについて紹介する。
本章では,サーマルマネジメントに関する概説と小型化・集密化する電子デバイスのサーマルマネジメントについて紹介する。……(本文へ続く)
「第2章 ヒートパイプの開発動向」
「第1節 ヒートパイプの基礎と超薄型サーマルソリューションの開発動向」
ヒートパイプは閉じた管の一端を加熱して内部の液体を蒸発させ,他端で凝縮させることにより小さな温度差で多量の熱を輸送することが可能な伝熱素子である。凝縮した液体を再び蒸発部に戻すために,管の内壁に毛細管作用が良く働くような構造(これをWick(ウイック)という)を内張りしたものを用いる熱伝達素子をG. M. Grover がヒートパイプと名付けて1964 年に発表し,翌1965 年にT. P. Cotter がその基礎理論を発表し広く一般にも紹介され,一般的になった。Grover はLos Alamos 研究所で人工衛星用のヒートパイプの研究に傾注しており,その成果を基に製作された水-ステンレス鋼ヒートパイプを搭載した衛星が1967年に打ち上げられた。一方ヨーロッパでは原子力研究所を中心に高温用ヒートパイプが開発された。英国の原子力研究所,イタリアISPRA のJoint Nuclear Research Center が中心となり,熱電子発電用のヒートパイプの研究が開始された。ヒートパイプの初期の研究は,時代の要請に応えるものであり人工衛星への適用を中心に進められた。ヒートパイプを初めて商品化したのもアメリカ(Q-Dot 社)であるが(1966年),これを契機としてヒートパイプは世界各国で熱交換器や電子機器の冷却等,地上用各種機器の冷却に用いられるようになった。1970年代になると,日本でも大島耕一先生と日本ヒートパイプ協会を中心にヒートパイプの研究が進み,1980年代には廃熱回収用熱交換器,パワートランジスタ等電力機器の冷却,太陽熱温水器,家庭用品,融雪凍結防止等に実用された。1990 年以降は,パソコンのCPU 冷却に採用されヒートパイプの需要が急増した。近年では,スマートフォンやタブレットPC の冷却用に,厚さ0.4 mm という超薄型ヒートパイプが応用され,超薄型ベーパチャンバーに進化した。昨今では電気自動車用のバッテリ,モータ,インバータの冷却装置に応用されつつある。……(本文へ続く)
「第2節 自励振動型ヒートパイプの開発動向」
近年,軽量小型・高性能,かつポンプなどの駆動装置を必要としない熱制御デバイスとして「ヒートパイプ」が注目されており,LHP(Loop Heat Pipe)を含む蒸気圧利用ヒートパイプ,気泡ポンプ利用ヒートパイプおよび自励振動型ヒートパイプに関する研究開発が進められている。中でも自励振動型ヒートパイプ(PHP)は,細い流路を加熱部と冷却部の間に複数回往復させ,作動流体を流路体積の半分程度封入したもので,表面張力により形成された液スラグの自励振動によりパッシブで高い熱輸送を実現する。さらに従来型ヒートパイプのように毛管力限界やフラッディング限界による液還流制限がないことから高い熱輸送性能を有すると考えられており,これまで様々な研究が行われている。特に昨今,PHP は高密度・高集積化された電子機器の冷却用,放熱用デバイスとして動作機構の解明を目的とした基礎的研究,熱輸送性能向上を目的とした応用的研究およびそれらの研究から得られた結果を考慮した数値シミュレーションが行われている。
本節では,PHP の動作原理から,熱輸送性能におよぼす各種パラメータの影響および筆者が実施してきた各種実験の結果の一部について紹介する。……(本文へ続く)
「第3節 高機能ループヒートパイプ開発動向」
近年,電子機器の冷却技術としてループヒートパイプが注目されている。その理由は,無電力,潜熱輸送,抗重力性などの特徴に加え,その設計自由度の高さにある。設計次第で小型化,薄型化,高熱流束化,大容量化,長距離化が可能となる。本節ではループヒートパイプの概要ならびに開発動向について概説する。……(本文へ続く)
「第4節 極薄ループヒートパイプの開発動向」
近年,半導体の技術進展に伴い電子機器やパワーモジュールの小型化,高効率化が進んでいる。一方で,小型化に向けて機器の発熱密度は増加傾向にあり,高性能な放熱技術が求められている。特にモバイル機器の放熱においては,放熱性能に加えて薄型化が必須であり,放熱デバイスの薄型化に関する研究開発が進んでいる。現在のモバイル機器の放熱技術には,高熱伝導グラファイトシート,ヒートパイプ,ベーパチャンバーなどが用されている。将来的には,さらに高性能な放熱デバイスとして薄型のループヒートパイプが期待されている。本節では,モバイル機器の放熱手段に対するループヒートパイプへの期待と,ループヒートパイプの薄型化についての研究開発動向を述べる。……(本文へ続く)
「第5節 相変化型並列細管熱輸送デバイスの研究開発の動向」
……自励振動ヒートパイプの代表例である蛇行細管型自励振動ヒートパイプは作動流体の沸騰・凝縮によって振動流を誘起し,高い熱輸送性能を発揮することが知られ,その薄型の構造を生かした製品が開発されている。同様にここで報告する相変化型並列細管熱輸送デバイスも,作動流体の沸騰・凝縮による相変化によって内部流動を誘起し熱輸送を行う。……(中略)
これまでに並列細管熱輸送デバイスについて作動流体の種類や,デバイスの形状寸法を変化させ,熱輸送量と内部流動の関係について調査・研究を行ってきた。その中で同一スケールの蛇行細管型と並列細管型の性能比較を行い,鉛直設置時には蛇行細管型よりも高い熱輸送量を達成することを実験で明らかにした。
しかし,並列細管熱輸送デバイスを含む自励振動ヒートパイプの熱輸送特性は,気液二相内部流動が複雑に変化するため,その予測は難しく未だ現象把握について未解明な部分が多く残されている。
ここでは,これまでに行われてきた並列細管熱輸送デバスの熱輸送量と内部流動の同時計測による熱輸送と内部流動の評価と,アルコール水溶液や環境対応型フッ素系冷媒といった低環境負荷流体を用いた際の熱輸送特性などについて,報告する。……(本文へ続く)
「第3章 沸騰冷却技術の開発動向」
「第1節 沸騰冷却技術の基礎と開発動向」
……情報サービスは更なる大容量化・高速化が進み続けていて,情報デバイスには小型化と長時間駆動が求められている。情報サービス提供のため,情報デバイス間で通信する際には電気信号が専ら使われているが,電気抵抗がある配線に電流を流せばそこには発熱が発生する。そのため,情報処理及び通信速度が高速になればなるほど,流れる情報量(=電流量)が増加し,それに伴って発電量も増大する。同時に,情報密度が高まることで高発熱密度化する。情報デバイス以外の電子機器も,小型化と高発熱密度化によって,熱による故障の問題がより顕著になってきている。そこで,サーマルマネージメントの重要性が一層高まっている。さらに,これまでに見たことのない新規の情報サービスや情報デバイスを今後開発・展開するにあたっては,これまでの概念にとらわれない新規のサーマルマネージメント手法が必要となるはずである。そこで本節では,従来の空冷・水冷技術を超える省エネルギー冷却手法として注目されている沸騰冷却技術についての開発動向を紹介する。……(本文へ続く)
「第2節 電界印加による沸騰熱伝達の高機能化」
……発熱した物体を気体または液体中に放置して自然対流で冷却する方法は熱伝達率が低い。ファンなどを使って気体を強制的に対流して冷却すると液体の自然対流よりも約10倍熱伝達率が高くなる。比熱の高い液体を強制対流させる液体強制対流はさらに10倍高くなるが,最も熱伝達率が高いのが沸騰・凝縮である。
工業製品としての発熱体の冷却法を振り返ると,第二次世界大戦中のレシプロ戦闘機のエンジン冷却法がわかりやすい。空冷エンジンは,冷却の効率上ピストンを放射状に配置した星形が一般的な形になり,正面面積が増え,空気抵抗が増加する。液冷は,ピストンの配置を並列にでき,冷却器の開口部が空気抵抗に加わるが,星型エンジンの場合よりも小さい。当時,日本の航空機エンジンはメンテンナス性の良さから空冷偏重であったが,アメリカの場合は半々,その他の国は液冷が主力であった。戦後の日本は,自動車へと工業技術の発展が移行したが,温度コントロールがしやすくコンパクトなエンジン設計が可能なこと,騒音が小さいことからエンジンの排気量(発熱密度)が大きくなるに従って水冷エンジンに移行していった。また,電気デバイス分野においても,デバイスの集積度が上がることでより熱伝達率の高い冷却法を採用する方向に移行している。事実,静粛性を重視したパソコンには騒音の大きいファンを嫌って水冷方式が採用されている。最近では,電気絶縁性液体であるフッ素系冷媒中に半導体デバイスを沈めて冷却する液浸冷却装置が販売された。
以上のように,科学技術が進展して高出力化・小型化が求められると,高効率な冷却手法へと移行している。その中でも,沸騰熱伝達は熱伝達率が最高の値を示すので,当然,様々な研究が盛んに行われている。沸騰熱伝達を冷却法として採用するのに障害となる点は,いまだその冷却特性がわからないことがあるためである。一般的に,半導体の駆動限界温度はコアの温度が85℃で,冷却面では60℃になるように設計する。そのため沸点が低い冷媒を採用するか,回路内圧力を減圧して,沸点を下げるなど様々な条件を考えなくてはならない。水以外の冷媒を使用する場合,沸点が10℃から50℃の冷媒は存在するが,比熱や潜熱が水に比べて低くなる。特に,沸騰熱伝達には,限界熱流束(CHF)とよばれる冷却の限界点が存在するので,この限界値も把握しなければならない。さらに,プロジェクターなどの電気製品は180°反転して天井に固定する場合もあり,蒸気の浮力による熱伝達性能の低下はどうなるのか,CHF はどこまで下がるのかなど,設計上解決しなければならない課題が残っている。……(本文へ続く)
「第4章 磁性流体の開発動向」
「第1節 磁性流体の基礎と開発動向」
磁性流体は,液状で液相中にコロイドが形成できる程度のサイズを有する強磁性ナノ粒子(10 nm 程度)を安定分散させた溶液であり,磁性材料特有のヒステリシス現象が起こらず,液体自体が磁性を有するような性質を示す。一般的に磁性流体といえば,図1に示すような磁石によって生成される磁場の方向に沿って突起形状を形成するスパイク現象がよく知られている。磁性流体は,ベース流体(溶媒),界面活性剤および分散粒子の種類を変化させることで,その利用目的に応じた機能性流体として製造されている。ここでは,磁性流体の歴史,製造方法,特性と各種物性値および工学的応用について紹介する。特に応用分野としてサーマルマネジメントに特化した利用方法について紹介する。……(本文へ続く)
「第2節 電源フリーの磁性流体循環熱輸送デバイスの開発動向」
……近年の微細加工技術の進展により,マイクロエレクトロニクスやパワーデバイスなどの高性能化・高密度化・小型化が図られ,デバイスからの発熱は増加の一途にある。これまでは,熱対策としてヒートパイプなどが多く使用されていたが,除熱の問題は一段と深刻になってきており,新たな革新的な熱輸送・冷却技術の開発が待たれている。
弊社では,従来からマイクロポンプを用いた水冷の研究を行っていたが,期待された冷却性能が発揮できない上に,ポンプを作動させる消費電力の問題があった。これらの問題の解決方法として,新規の磁性流体を用いた循環熱輸送デバイスの研究を進めている。……(本文へ続く)
「第5章 電気流体力学(EHD)現象を利用した熱輸送デバイスの開発動向」
絶縁性の液体に高電界を印加すると電気力が作用して流動が起きる。ファンなどと異なり機械的な動きがなく,冷媒として利用されているフッ素系冷媒に適用できるため,ポンプをはじめとし電気流体力学(EHD)流動を利用した熱輸送デバイスが研究開発されている。本章ではEHDの基礎,EHDポンプ,気液二相流への応用について筆者の研究内容も含めて紹介する。……(本文へ続く)
「第6章 表面フォノンポラリトンによる熱輸送技術」
熱伝導は通常,格子振動によるエネルギー輸送もしくは電子の移動によるエネルギー輸送によって説明される。格子振動による輸送はフォノン輸送として,電子による輸送はエレクトロン輸送として扱えば,熱伝導を考慮することができ,金属の高い熱伝導率が導電度とローレンツ数によって結び付けられることや,微細構造の持つ特殊な熱伝導についても定量的に扱えるようになってきた。微細構造における熱伝導では,熱エネルギーを輸送するフォノンもしくはエレクトロンの輸送が散乱によって抑えられるため,見かけの熱伝導率として低下することがよく知られている。特に薄膜の熱伝導率は,薄膜表面における散乱が強くなり,膜厚が薄くなるほどフォノンやエレクトロンの輸送が抑えられ,見かけの熱伝導率が低下することも解析や実験で示されている。ところが,薄膜表面には表面フォノンポラリトンと呼ばれる電磁波が薄く存在しており,それらも熱を輸送することが示されるようになった。解析では,見かけ上表面の効果が大きくなる薄膜では,膜厚の減少によって熱伝導率が増加することが示されている。微細加工技術により超薄膜を生成し,膜厚の減少と共に増加する見かけの熱伝導率を測定した結果について概説する。……(本文へ続く)
「第7章 5G対応スマートフォンおよびミニ基地局の放熱対策部品の事例」
……2019年から第五世代通信規格(5G)サービスが始まり,スマートフォンおよび基地局は世界的な規模で5G 対応が進んでいる。5G の特徴の一つは大容量データ通信である。通信速度の理論値は毎秒10 Gビットで4G の5倍となる。これは時間あたりで処理するデータの増加を意味し,電子部品は消費電力が増え,排出される熱も増大する。5G 対応通信機器がクリアする必要のある課題の一つは熱問題という点で識者の考えは概ね一致している。
……(中略)
一般的に電子部品は熱に対して脆弱である。耐熱特性に優れる電子部品はそれだけでプレミアが発生し高価格で自動車および産業機械用電子部品に採用されている。5Gスマートフォンおよびミニ基地局では家電グレードとほぼ同じ電子部品が採用されており,耐熱温度は85℃である部品が多い。これ以上高温になると電子部品は損傷する可能性が高くなる。何よりもユーザーが火傷を負う。このため,1か所で発生する放熱による高温状態を迅速に低下させる必要がある。
熱対策で広く採用されているのは冷却ファンによる強制排気である。パソコン,サーバ,ゲーム機などで採用されている。しかし5Gスマートフォンにファンを搭載するスペースはなく,ファンを回す電力もない。このため別の方法で熱対策を施す必要がある。ファンを用いずに熱対策を施す方法としては,熱伝導により熱源の熱を製品全体に拡散させる方法があり,5G スマートフォンおよびミニ基地局ではこの手法が用いられている。
スポットで発生する熱を製品全体に拡散させる過程にはいくつかの段階がある。第一段として,熱伝導特性に優れたペーストやシートを熱源となるIC に密着させる。第二段として,ICに密着させたペーストやシートの反対側を近傍の大型金属構造物に密着させ,熱を拡散させる。第三段として,筐体に近いサイズの大型金属構造物に熱を伝達して拡散させる。製品がほんのり温かくなるとユーザーが感じるのはこの過程の結果である。……(本文へ続く)
著者
麓 耕二 | 青山学院大学 |
望月 正孝 | The Heat Pipes |
長野 方星 | 名古屋大学 |
齋藤 博史 | 東京都立産業技術高等専門学校 |
海野 徳幸 | 山口東京理科大学 |
鹿野 一郎 | 山形大学 |
藤井 泰久 | (株)KRI |
西川原 理仁 | 豊橋技術科学大学 |
宮崎 康次 | 九州工業大学 |
柏尾 南壮 | (株)フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ |
書籍趣旨
本書は、各種電子デバイスの発熱・放熱問題解決の一助となりうる熱輸送・冷却技術について、従来から実用化が進められ、近年更に進化を続けている「ヒートパイプ」をはじめ、「沸騰冷却」「磁性流体」「電気流体力学(EHD)」を利用した各種熱輸送デバイスの原理・開発動向から高機能化について、専門家による解説を幅広く掲載しました。加えて昨今、新しい熱輸送現象として注目を集めている「表面フォノンポラリトン」による熱輸送現象に基づく新たな試みや、「5G対応スマートフォン / ミニ基地局」の放熱対策部品について、具体的な製品事例を紹介しています。
本書が電子デバイスの発熱・放熱問題を解決する一助となり、電子デバイスの更なる開発・発展のお役に立つ1冊となれば幸いです。
目次
1. サーマルマネジメントについて
2. サーマルマネジメントのための各種技術
2.1 放熱材料
2.2 熱エネルギー変換材料
2.3 蓄熱技術と蓄熱材料
3. 小型化・集密化する電子デバイスのサーマルマネジメント
第2章 ヒートパイプの開発動向
第1節 ヒートパイプの基礎と超薄型サーマルソリューションの開発動向
1. ヒートパイプの基礎
1.1 原理,構造
1.2 ヒートパイプの作動限界
1.2.1 粘性限界
1.2.2 音速限界
1.2.3 毛細管限界
1.2.4 飛散限界
1.2.5 沸騰限界
1.3 使用温度範囲
1.4 作動流体・容器材料の適合性
1.5 ヒートパイプの設計
1.5.1 作動流体の選定
1.5.2 容器の設計
1.5.3 ウイックの設計
1.5.4 ヒートパイプの熱設計(ヒートパイプの熱抵抗の算出)
1.6 ヒートパイプの応用分野
2. 超薄型サーマルソリューションの開発動向
2.1 開発動向
2.2 カーボングラファイトシート(Gr)
2.3 超薄型ヒートパイプ(HP)
2.4 超薄型ベーパチャンバー(VC)
2.5 ループヒートパイプ(LHP)
2.6 自励振動型ヒートパイプ(PHP)
3. 等価熱伝導率(Keff)による薄型伝熱素子の総合評価
第2節 自励振動型ヒートパイプの開発動向
1. PHP の動作原理
2. 各種パラメータによる熱輸送性能への影響
2.1 流路形状とターン数(チャンネル数)
2.2 作動流体の物性値と封入率
2.3 設置姿勢と各種寸法割合
3. PHP に関する既存の研究
4. 研究事例の紹介
4.1 従来型ヒートパイプと自励振動型ヒートパイプの比較
4.2 小型PHP への挑戦
5. 応用技術としての可能性
第3節 高機能ループヒートパイプ開発動向
1. ループヒートパイプの概要
1.1 ループヒートパイプの特徴
1.2 ループヒートパイプの歴史
1.3 ループヒートパイプの原理
2. 研究開発動向ならびに研究開発事例
2.1 高熱流束ループヒートパイプ
2.2 超小型ループヒートパイプ
2.3 大型ループヒートパイプ
2.4 長距離ループヒートパイプ
第4節 極薄ループヒートパイプの開発動向
1. ループヒートパイプ薄型化への期待
2. 薄型ループヒートパイプの研究開発事例
第5節 相変化型並列細管熱輸送デバイスの研究開発の動向
1. 並列細管熱輸送デバイスとは
2. 並列細管熱輸送デバイスの構造および熱輸送特性評価実験装置
2.1 基本構造
2.2 封入作動流体
2.3 熱輸送特性評価実験装置
3. 並列細管熱輸送デバイスの熱輸送特性
3.1 封入率が熱輸送特性に与える影響
3.2 形状・寸法が熱輸送特性に与える影響
3.3 設置角度が熱輸送特性に与える影響
3.4 作動流体の種類が熱輸送特性に与える影響
3.5 内部流動の評価
3.6 熱輸送量と内部流動の同時計測および流動様式の判別
4. 並列細管熱輸送デバイスの応用
第3章 沸騰冷却技術の開発動向
第1節 沸騰冷却技術の基礎と開発動向
1. Society5.0時代における冷却技術の必要性
2. 半導体デバイスとその冷却技術の歩み
3. 沸騰冷却技術の基本原理
3.1 冷却電力削減を目指したプール沸騰方式
3.2 超高熱流束除去を目指した強制流動沸騰方式
4. 沸騰冷却技術の実用化に向けた課題
4.1 気泡核生成とオーバーシュートの問題
4.2 半導体デバイス温度低減のための熱伝達率の更なる向上
4.3 最大冷却限界を決める限界熱流束
5. 沸騰冷却技術の開発動向
第2節 電界印加による沸騰熱伝達の高機能化
1. 沸騰熱伝達促進技術
2. 電気流体力(EHD)による体積力
3. 冷媒の選定とダイヤモンド粒子電着によるプール沸騰熱伝達促進技術
4. 電界印加によるプール沸騰熱伝達促進
5. 電界印加によるサブクール流動沸騰熱伝達促進
第4章 磁性流体の開発動向
第1節 磁性流体の基礎と開発動向
1. 磁性流体の歴史
2. 磁性流体の製法
3. 特性と各種物性値
3.1 磁性
3.2 レオロジー特性
3.3 特殊な性質を持った磁性流体
4. 工業的応用とサーマルマネジメントデバイスへの利用
5. 磁性流体を用いた熱輸送デバイスの今後
第2節 電源フリーの磁性流体循環熱輸送デバイスの開発動向
1. 磁性流体駆動式冷却デバイス
1.1 背景
1.2 磁性流体
1.3 デバイスの構成
1.4 駆動原理
1.5 駆動性能の進化
1.6 デバイスの性能
1.7 想定される応用例
2. 今後の応用開発
2.1 磁性流体駆動式冷却デバイスのまとめ
2.2 研究プロジェクト
第5章 電気流体力学(EHD)現象を利用した熱輸送デバイスの開発動向
1. 序論
2. EHD 流動
2.1 動作原理
2.1.1 絶縁性液体での電気伝導
2.1.2 イオンドラッグポンプ
2.1.3 コンダクションポンプ
2.1.4 インダクションポンプ
2.1.5 誘電泳動力
2.1.6 液面上昇
2.1.7 数元効果
2.2 液単相流での応用
2.2.1 イオンドラッグポンプの開発と温度依存性
2.3 気液二相流での応用
第6章 表面フォノンポラリトンによる熱輸送技術
1. 表面フォノンポラリトン
2. 熱伝導率と熱拡散率測定方法
3. SiO2超薄膜の作製
4. 熱伝導率と熱拡散率測定結果
第7章 5G 対応スマートフォンおよびミニ基地局の放熱対策部品の事例
1. 放熱の理由
2. 放熱の激しい電子部品
3. 放熱対策のバリエーション
4. 放熱対策部材のバリエーション
5. 5G 対応スマートフォンにおける放熱対策部材の事例
5.1 エラストマー
5.2 炭素黒鉛シート
5.3 銅箔
5.4 熱伝導パイプ(ベーパーチャンバー)
5.5 スマートフォンを使ったライフスタイルの変化
6. ミニ基地局における放熱対策部品の事例
6.1 ミニ基地局とは
6.2 基地局市場
6.3 スモールセルが必要な理由
6.4 ミニ基地局の概要
6.5 ミニ基地局の中身
6.6 放熱部材
6.7 結論
概要
電子デバイスの小型化に反比例して増大し続ける熱をどのように輸送し・冷やすのか。
実用技術の進化から、次世代の熱輸送・冷却技術の最新の開発動向を網羅した一冊です。
▼実際の製品に見る熱対策部品の現状
◎4Gと5Gでスモールセルの放熱部品はどう変化したのか?
5Gスマートフォン(Xperia 5-II、Arrows 5G F-51A)、ミニ基地局(Huawei社製スモールセル)の
分解写真から見る、放熱部品の現状とは。
▼超薄型サーマルソリューションの開発動向
◎スマートフォン、タブレット端末の「一時的な急発熱」に対して必要とされる「急速熱吸収材」の研究例
◎カーボングラファイトシート/超薄型ヒートパイプ/ベーパチャンバ/ループヒートパイプ(RHP)/
自励振動型ヒートパイプ(PHP)の等価熱伝導率比較と5G通信用端末に対応するための開発指針。
◎小型・薄型・高熱流束化・大容量化・長距離化が可能となるRHPの研究動向。
小型電子機器向けの10件の研究例を解説。
◎小型電子機器への搭載にむけたマイクロPHPの研究開発動向と、性能向上のための作動流体の工夫とは。
◎PHPの一種で、高フィン効率を有するヒートシンク、ヒートスプレッダーへの応用が期待される
相変化型並列細管熱輸送デバイスの開発動向を掲載。
▼再び脚光を浴び始めた沸騰冷却技術
◎1980年代のスパコン開発で注目された沸騰冷却技術。実用化に向けてクリアしなければならない課題、
伝熱性能を改善するための方針とは。
◎伝熱面コーティングの工夫や、電界印加による電気流体力(EHD)効果に基づく沸騰熱伝達の促進。
▼今後の応用普及と低コスト化が期待される磁性流体
◎感温磁性流体を用いた熱輸送デバイスの仕組み、構造、小型化に向けた研究例。
◎溶媒、粒子分散、粘度調製、マイクロカプセル等、磁性流体の改良
◎PC、サーバーCPU、プロジェクターの光学素子やLED、通信用モジュールの冷却、車載バッテリー・
ECU・PCUなどの冷却や排熱回収用途への応用が期待される磁性流体駆動式冷却デバイスの開発例
▼集積回路の冷却から熱電発電・高断熱ガラス・塗料まで、幅広い用途への展開が期待される新技術
◎薄膜表面に薄く存在する表面フォノンポラリトンと呼ばれる電磁波。
この電磁波をキャリアとした新たな熱輸送ナノテクノロジーの展望。
【目次抜粋】 第1章 小型化する電子デバイスと求められるサーマルマネジメント 第2章 ヒートパイプの開発動向 第1節 ヒートパイプの基礎と超薄型サーマルソリューションの開発動向 第2節 自励振動型ヒートパイプの開発動向 第3節 高機能ループヒートパイプ開発動向 第4節 極薄ループヒートパイプの開発動向 第5節 相変化型並列細管熱輸送デバイスの研究開発の動向 第3章 沸騰冷却技術の開発動向 第1節 沸騰冷却技術の基礎と開発動向 第2節 電界印加による沸騰熱伝達の高機能化 第4章 磁性流体の開発動向 第1節 磁性流体の基礎と開発動向 第2節 電源フリーの磁性流体循環熱輸送デバイスの開発動向 第5章 電気流体力学(EHD)現象を利用した熱輸送デバイスの開発動向 第6章 表面フォノンポラリトンによる熱輸送技術 第7章 5G 対応スマートフォンおよびミニ基地局の放熱対策部品の事例 |
各章の内容紹介 <本文抜粋>
「第1章 小型化する電子デバイスと求められるサーマルマネジメント」
本書は,近年の情報化・ネットワーク社会の進展に伴う情報通信デバイスを含む電子デバイスの小型化・高性能化,さらに今後のIoT技術の広がりと共に大きな問題となる各種デバイスの発熱・放熱問題解決の一助となりうるサーマルマネジメント技術についてまとめたものである。具体的には従来から実用化が進められ,近年さらなる進化を遂げている「ヒートパイプの基礎と開発動向」,「沸騰冷却系の基礎と開発動向」,「磁性流体を用いたデバイスの基礎と開発動向」および「電気流体力学(EHD)ポンプを用いたデバイス」についてまとめている。加えて昨今,新しい熱輸送現象として注目を集めている「表面フォノンポラリトンによる熱輸送現象」に基づく新たな試みについて紹介する。
本章では,サーマルマネジメントに関する概説と小型化・集密化する電子デバイスのサーマルマネジメントについて紹介する。……(本文へ続く)
「第2章 ヒートパイプの開発動向」
「第1節 ヒートパイプの基礎と超薄型サーマルソリューションの開発動向」
ヒートパイプは閉じた管の一端を加熱して内部の液体を蒸発させ,他端で凝縮させることにより小さな温度差で多量の熱を輸送することが可能な伝熱素子である。凝縮した液体を再び蒸発部に戻すために,管の内壁に毛細管作用が良く働くような構造(これをWick(ウイック)という)を内張りしたものを用いる熱伝達素子をG. M. Grover がヒートパイプと名付けて1964 年に発表し,翌1965 年にT. P. Cotter がその基礎理論を発表し広く一般にも紹介され,一般的になった。Grover はLos Alamos 研究所で人工衛星用のヒートパイプの研究に傾注しており,その成果を基に製作された水-ステンレス鋼ヒートパイプを搭載した衛星が1967年に打ち上げられた。一方ヨーロッパでは原子力研究所を中心に高温用ヒートパイプが開発された。英国の原子力研究所,イタリアISPRA のJoint Nuclear Research Center が中心となり,熱電子発電用のヒートパイプの研究が開始された。ヒートパイプの初期の研究は,時代の要請に応えるものであり人工衛星への適用を中心に進められた。ヒートパイプを初めて商品化したのもアメリカ(Q-Dot 社)であるが(1966年),これを契機としてヒートパイプは世界各国で熱交換器や電子機器の冷却等,地上用各種機器の冷却に用いられるようになった。1970年代になると,日本でも大島耕一先生と日本ヒートパイプ協会を中心にヒートパイプの研究が進み,1980年代には廃熱回収用熱交換器,パワートランジスタ等電力機器の冷却,太陽熱温水器,家庭用品,融雪凍結防止等に実用された。1990 年以降は,パソコンのCPU 冷却に採用されヒートパイプの需要が急増した。近年では,スマートフォンやタブレットPC の冷却用に,厚さ0.4 mm という超薄型ヒートパイプが応用され,超薄型ベーパチャンバーに進化した。昨今では電気自動車用のバッテリ,モータ,インバータの冷却装置に応用されつつある。……(本文へ続く)
「第2節 自励振動型ヒートパイプの開発動向」
近年,軽量小型・高性能,かつポンプなどの駆動装置を必要としない熱制御デバイスとして「ヒートパイプ」が注目されており,LHP(Loop Heat Pipe)を含む蒸気圧利用ヒートパイプ,気泡ポンプ利用ヒートパイプおよび自励振動型ヒートパイプに関する研究開発が進められている。中でも自励振動型ヒートパイプ(PHP)は,細い流路を加熱部と冷却部の間に複数回往復させ,作動流体を流路体積の半分程度封入したもので,表面張力により形成された液スラグの自励振動によりパッシブで高い熱輸送を実現する。さらに従来型ヒートパイプのように毛管力限界やフラッディング限界による液還流制限がないことから高い熱輸送性能を有すると考えられており,これまで様々な研究が行われている。特に昨今,PHP は高密度・高集積化された電子機器の冷却用,放熱用デバイスとして動作機構の解明を目的とした基礎的研究,熱輸送性能向上を目的とした応用的研究およびそれらの研究から得られた結果を考慮した数値シミュレーションが行われている。
本節では,PHP の動作原理から,熱輸送性能におよぼす各種パラメータの影響および筆者が実施してきた各種実験の結果の一部について紹介する。……(本文へ続く)
「第3節 高機能ループヒートパイプ開発動向」
近年,電子機器の冷却技術としてループヒートパイプが注目されている。その理由は,無電力,潜熱輸送,抗重力性などの特徴に加え,その設計自由度の高さにある。設計次第で小型化,薄型化,高熱流束化,大容量化,長距離化が可能となる。本節ではループヒートパイプの概要ならびに開発動向について概説する。……(本文へ続く)
「第4節 極薄ループヒートパイプの開発動向」
近年,半導体の技術進展に伴い電子機器やパワーモジュールの小型化,高効率化が進んでいる。一方で,小型化に向けて機器の発熱密度は増加傾向にあり,高性能な放熱技術が求められている。特にモバイル機器の放熱においては,放熱性能に加えて薄型化が必須であり,放熱デバイスの薄型化に関する研究開発が進んでいる。現在のモバイル機器の放熱技術には,高熱伝導グラファイトシート,ヒートパイプ,ベーパチャンバーなどが用されている。将来的には,さらに高性能な放熱デバイスとして薄型のループヒートパイプが期待されている。本節では,モバイル機器の放熱手段に対するループヒートパイプへの期待と,ループヒートパイプの薄型化についての研究開発動向を述べる。……(本文へ続く)
「第5節 相変化型並列細管熱輸送デバイスの研究開発の動向」
……自励振動ヒートパイプの代表例である蛇行細管型自励振動ヒートパイプは作動流体の沸騰・凝縮によって振動流を誘起し,高い熱輸送性能を発揮することが知られ,その薄型の構造を生かした製品が開発されている。同様にここで報告する相変化型並列細管熱輸送デバイスも,作動流体の沸騰・凝縮による相変化によって内部流動を誘起し熱輸送を行う。……(中略)
これまでに並列細管熱輸送デバイスについて作動流体の種類や,デバイスの形状寸法を変化させ,熱輸送量と内部流動の関係について調査・研究を行ってきた。その中で同一スケールの蛇行細管型と並列細管型の性能比較を行い,鉛直設置時には蛇行細管型よりも高い熱輸送量を達成することを実験で明らかにした。
しかし,並列細管熱輸送デバイスを含む自励振動ヒートパイプの熱輸送特性は,気液二相内部流動が複雑に変化するため,その予測は難しく未だ現象把握について未解明な部分が多く残されている。
ここでは,これまでに行われてきた並列細管熱輸送デバスの熱輸送量と内部流動の同時計測による熱輸送と内部流動の評価と,アルコール水溶液や環境対応型フッ素系冷媒といった低環境負荷流体を用いた際の熱輸送特性などについて,報告する。……(本文へ続く)
「第3章 沸騰冷却技術の開発動向」
「第1節 沸騰冷却技術の基礎と開発動向」
……情報サービスは更なる大容量化・高速化が進み続けていて,情報デバイスには小型化と長時間駆動が求められている。情報サービス提供のため,情報デバイス間で通信する際には電気信号が専ら使われているが,電気抵抗がある配線に電流を流せばそこには発熱が発生する。そのため,情報処理及び通信速度が高速になればなるほど,流れる情報量(=電流量)が増加し,それに伴って発電量も増大する。同時に,情報密度が高まることで高発熱密度化する。情報デバイス以外の電子機器も,小型化と高発熱密度化によって,熱による故障の問題がより顕著になってきている。そこで,サーマルマネージメントの重要性が一層高まっている。さらに,これまでに見たことのない新規の情報サービスや情報デバイスを今後開発・展開するにあたっては,これまでの概念にとらわれない新規のサーマルマネージメント手法が必要となるはずである。そこで本節では,従来の空冷・水冷技術を超える省エネルギー冷却手法として注目されている沸騰冷却技術についての開発動向を紹介する。……(本文へ続く)
「第2節 電界印加による沸騰熱伝達の高機能化」
……発熱した物体を気体または液体中に放置して自然対流で冷却する方法は熱伝達率が低い。ファンなどを使って気体を強制的に対流して冷却すると液体の自然対流よりも約10倍熱伝達率が高くなる。比熱の高い液体を強制対流させる液体強制対流はさらに10倍高くなるが,最も熱伝達率が高いのが沸騰・凝縮である。
工業製品としての発熱体の冷却法を振り返ると,第二次世界大戦中のレシプロ戦闘機のエンジン冷却法がわかりやすい。空冷エンジンは,冷却の効率上ピストンを放射状に配置した星形が一般的な形になり,正面面積が増え,空気抵抗が増加する。液冷は,ピストンの配置を並列にでき,冷却器の開口部が空気抵抗に加わるが,星型エンジンの場合よりも小さい。当時,日本の航空機エンジンはメンテンナス性の良さから空冷偏重であったが,アメリカの場合は半々,その他の国は液冷が主力であった。戦後の日本は,自動車へと工業技術の発展が移行したが,温度コントロールがしやすくコンパクトなエンジン設計が可能なこと,騒音が小さいことからエンジンの排気量(発熱密度)が大きくなるに従って水冷エンジンに移行していった。また,電気デバイス分野においても,デバイスの集積度が上がることでより熱伝達率の高い冷却法を採用する方向に移行している。事実,静粛性を重視したパソコンには騒音の大きいファンを嫌って水冷方式が採用されている。最近では,電気絶縁性液体であるフッ素系冷媒中に半導体デバイスを沈めて冷却する液浸冷却装置が販売された。
以上のように,科学技術が進展して高出力化・小型化が求められると,高効率な冷却手法へと移行している。その中でも,沸騰熱伝達は熱伝達率が最高の値を示すので,当然,様々な研究が盛んに行われている。沸騰熱伝達を冷却法として採用するのに障害となる点は,いまだその冷却特性がわからないことがあるためである。一般的に,半導体の駆動限界温度はコアの温度が85℃で,冷却面では60℃になるように設計する。そのため沸点が低い冷媒を採用するか,回路内圧力を減圧して,沸点を下げるなど様々な条件を考えなくてはならない。水以外の冷媒を使用する場合,沸点が10℃から50℃の冷媒は存在するが,比熱や潜熱が水に比べて低くなる。特に,沸騰熱伝達には,限界熱流束(CHF)とよばれる冷却の限界点が存在するので,この限界値も把握しなければならない。さらに,プロジェクターなどの電気製品は180°反転して天井に固定する場合もあり,蒸気の浮力による熱伝達性能の低下はどうなるのか,CHF はどこまで下がるのかなど,設計上解決しなければならない課題が残っている。……(本文へ続く)
「第4章 磁性流体の開発動向」
「第1節 磁性流体の基礎と開発動向」
磁性流体は,液状で液相中にコロイドが形成できる程度のサイズを有する強磁性ナノ粒子(10 nm 程度)を安定分散させた溶液であり,磁性材料特有のヒステリシス現象が起こらず,液体自体が磁性を有するような性質を示す。一般的に磁性流体といえば,図1に示すような磁石によって生成される磁場の方向に沿って突起形状を形成するスパイク現象がよく知られている。磁性流体は,ベース流体(溶媒),界面活性剤および分散粒子の種類を変化させることで,その利用目的に応じた機能性流体として製造されている。ここでは,磁性流体の歴史,製造方法,特性と各種物性値および工学的応用について紹介する。特に応用分野としてサーマルマネジメントに特化した利用方法について紹介する。……(本文へ続く)
「第2節 電源フリーの磁性流体循環熱輸送デバイスの開発動向」
……近年の微細加工技術の進展により,マイクロエレクトロニクスやパワーデバイスなどの高性能化・高密度化・小型化が図られ,デバイスからの発熱は増加の一途にある。これまでは,熱対策としてヒートパイプなどが多く使用されていたが,除熱の問題は一段と深刻になってきており,新たな革新的な熱輸送・冷却技術の開発が待たれている。
弊社では,従来からマイクロポンプを用いた水冷の研究を行っていたが,期待された冷却性能が発揮できない上に,ポンプを作動させる消費電力の問題があった。これらの問題の解決方法として,新規の磁性流体を用いた循環熱輸送デバイスの研究を進めている。……(本文へ続く)
「第5章 電気流体力学(EHD)現象を利用した熱輸送デバイスの開発動向」
絶縁性の液体に高電界を印加すると電気力が作用して流動が起きる。ファンなどと異なり機械的な動きがなく,冷媒として利用されているフッ素系冷媒に適用できるため,ポンプをはじめとし電気流体力学(EHD)流動を利用した熱輸送デバイスが研究開発されている。本章ではEHDの基礎,EHDポンプ,気液二相流への応用について筆者の研究内容も含めて紹介する。……(本文へ続く)
「第6章 表面フォノンポラリトンによる熱輸送技術」
熱伝導は通常,格子振動によるエネルギー輸送もしくは電子の移動によるエネルギー輸送によって説明される。格子振動による輸送はフォノン輸送として,電子による輸送はエレクトロン輸送として扱えば,熱伝導を考慮することができ,金属の高い熱伝導率が導電度とローレンツ数によって結び付けられることや,微細構造の持つ特殊な熱伝導についても定量的に扱えるようになってきた。微細構造における熱伝導では,熱エネルギーを輸送するフォノンもしくはエレクトロンの輸送が散乱によって抑えられるため,見かけの熱伝導率として低下することがよく知られている。特に薄膜の熱伝導率は,薄膜表面における散乱が強くなり,膜厚が薄くなるほどフォノンやエレクトロンの輸送が抑えられ,見かけの熱伝導率が低下することも解析や実験で示されている。ところが,薄膜表面には表面フォノンポラリトンと呼ばれる電磁波が薄く存在しており,それらも熱を輸送することが示されるようになった。解析では,見かけ上表面の効果が大きくなる薄膜では,膜厚の減少によって熱伝導率が増加することが示されている。微細加工技術により超薄膜を生成し,膜厚の減少と共に増加する見かけの熱伝導率を測定した結果について概説する。……(本文へ続く)
「第7章 5G対応スマートフォンおよびミニ基地局の放熱対策部品の事例」
……2019年から第五世代通信規格(5G)サービスが始まり,スマートフォンおよび基地局は世界的な規模で5G 対応が進んでいる。5G の特徴の一つは大容量データ通信である。通信速度の理論値は毎秒10 Gビットで4G の5倍となる。これは時間あたりで処理するデータの増加を意味し,電子部品は消費電力が増え,排出される熱も増大する。5G 対応通信機器がクリアする必要のある課題の一つは熱問題という点で識者の考えは概ね一致している。
……(中略)
一般的に電子部品は熱に対して脆弱である。耐熱特性に優れる電子部品はそれだけでプレミアが発生し高価格で自動車および産業機械用電子部品に採用されている。5Gスマートフォンおよびミニ基地局では家電グレードとほぼ同じ電子部品が採用されており,耐熱温度は85℃である部品が多い。これ以上高温になると電子部品は損傷する可能性が高くなる。何よりもユーザーが火傷を負う。このため,1か所で発生する放熱による高温状態を迅速に低下させる必要がある。
熱対策で広く採用されているのは冷却ファンによる強制排気である。パソコン,サーバ,ゲーム機などで採用されている。しかし5Gスマートフォンにファンを搭載するスペースはなく,ファンを回す電力もない。このため別の方法で熱対策を施す必要がある。ファンを用いずに熱対策を施す方法としては,熱伝導により熱源の熱を製品全体に拡散させる方法があり,5G スマートフォンおよびミニ基地局ではこの手法が用いられている。
スポットで発生する熱を製品全体に拡散させる過程にはいくつかの段階がある。第一段として,熱伝導特性に優れたペーストやシートを熱源となるIC に密着させる。第二段として,ICに密着させたペーストやシートの反対側を近傍の大型金属構造物に密着させ,熱を拡散させる。第三段として,筐体に近いサイズの大型金属構造物に熱を伝達して拡散させる。製品がほんのり温かくなるとユーザーが感じるのはこの過程の結果である。……(本文へ続く)
著者
麓 耕二 | 青山学院大学 |
望月 正孝 | The Heat Pipes |
長野 方星 | 名古屋大学 |
齋藤 博史 | 東京都立産業技術高等専門学校 |
海野 徳幸 | 山口東京理科大学 |
鹿野 一郎 | 山形大学 |
藤井 泰久 | (株)KRI |
西川原 理仁 | 豊橋技術科学大学 |
宮崎 康次 | 九州工業大学 |
柏尾 南壮 | (株)フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ |
書籍趣旨
本書は、各種電子デバイスの発熱・放熱問題解決の一助となりうる熱輸送・冷却技術について、従来から実用化が進められ、近年更に進化を続けている「ヒートパイプ」をはじめ、「沸騰冷却」「磁性流体」「電気流体力学(EHD)」を利用した各種熱輸送デバイスの原理・開発動向から高機能化について、専門家による解説を幅広く掲載しました。加えて昨今、新しい熱輸送現象として注目を集めている「表面フォノンポラリトン」による熱輸送現象に基づく新たな試みや、「5G対応スマートフォン / ミニ基地局」の放熱対策部品について、具体的な製品事例を紹介しています。
本書が電子デバイスの発熱・放熱問題を解決する一助となり、電子デバイスの更なる開発・発展のお役に立つ1冊となれば幸いです。
目次
1. サーマルマネジメントについて
2. サーマルマネジメントのための各種技術
2.1 放熱材料
2.2 熱エネルギー変換材料
2.3 蓄熱技術と蓄熱材料
3. 小型化・集密化する電子デバイスのサーマルマネジメント
第2章 ヒートパイプの開発動向
第1節 ヒートパイプの基礎と超薄型サーマルソリューションの開発動向
1. ヒートパイプの基礎
1.1 原理,構造
1.2 ヒートパイプの作動限界
1.2.1 粘性限界
1.2.2 音速限界
1.2.3 毛細管限界
1.2.4 飛散限界
1.2.5 沸騰限界
1.3 使用温度範囲
1.4 作動流体・容器材料の適合性
1.5 ヒートパイプの設計
1.5.1 作動流体の選定
1.5.2 容器の設計
1.5.3 ウイックの設計
1.5.4 ヒートパイプの熱設計(ヒートパイプの熱抵抗の算出)
1.6 ヒートパイプの応用分野
2. 超薄型サーマルソリューションの開発動向
2.1 開発動向
2.2 カーボングラファイトシート(Gr)
2.3 超薄型ヒートパイプ(HP)
2.4 超薄型ベーパチャンバー(VC)
2.5 ループヒートパイプ(LHP)
2.6 自励振動型ヒートパイプ(PHP)
3. 等価熱伝導率(Keff)による薄型伝熱素子の総合評価
第2節 自励振動型ヒートパイプの開発動向
1. PHP の動作原理
2. 各種パラメータによる熱輸送性能への影響
2.1 流路形状とターン数(チャンネル数)
2.2 作動流体の物性値と封入率
2.3 設置姿勢と各種寸法割合
3. PHP に関する既存の研究
4. 研究事例の紹介
4.1 従来型ヒートパイプと自励振動型ヒートパイプの比較
4.2 小型PHP への挑戦
5. 応用技術としての可能性
第3節 高機能ループヒートパイプ開発動向
1. ループヒートパイプの概要
1.1 ループヒートパイプの特徴
1.2 ループヒートパイプの歴史
1.3 ループヒートパイプの原理
2. 研究開発動向ならびに研究開発事例
2.1 高熱流束ループヒートパイプ
2.2 超小型ループヒートパイプ
2.3 大型ループヒートパイプ
2.4 長距離ループヒートパイプ
第4節 極薄ループヒートパイプの開発動向
1. ループヒートパイプ薄型化への期待
2. 薄型ループヒートパイプの研究開発事例
第5節 相変化型並列細管熱輸送デバイスの研究開発の動向
1. 並列細管熱輸送デバイスとは
2. 並列細管熱輸送デバイスの構造および熱輸送特性評価実験装置
2.1 基本構造
2.2 封入作動流体
2.3 熱輸送特性評価実験装置
3. 並列細管熱輸送デバイスの熱輸送特性
3.1 封入率が熱輸送特性に与える影響
3.2 形状・寸法が熱輸送特性に与える影響
3.3 設置角度が熱輸送特性に与える影響
3.4 作動流体の種類が熱輸送特性に与える影響
3.5 内部流動の評価
3.6 熱輸送量と内部流動の同時計測および流動様式の判別
4. 並列細管熱輸送デバイスの応用
第3章 沸騰冷却技術の開発動向
第1節 沸騰冷却技術の基礎と開発動向
1. Society5.0時代における冷却技術の必要性
2. 半導体デバイスとその冷却技術の歩み
3. 沸騰冷却技術の基本原理
3.1 冷却電力削減を目指したプール沸騰方式
3.2 超高熱流束除去を目指した強制流動沸騰方式
4. 沸騰冷却技術の実用化に向けた課題
4.1 気泡核生成とオーバーシュートの問題
4.2 半導体デバイス温度低減のための熱伝達率の更なる向上
4.3 最大冷却限界を決める限界熱流束
5. 沸騰冷却技術の開発動向
第2節 電界印加による沸騰熱伝達の高機能化
1. 沸騰熱伝達促進技術
2. 電気流体力(EHD)による体積力
3. 冷媒の選定とダイヤモンド粒子電着によるプール沸騰熱伝達促進技術
4. 電界印加によるプール沸騰熱伝達促進
5. 電界印加によるサブクール流動沸騰熱伝達促進
第4章 磁性流体の開発動向
第1節 磁性流体の基礎と開発動向
1. 磁性流体の歴史
2. 磁性流体の製法
3. 特性と各種物性値
3.1 磁性
3.2 レオロジー特性
3.3 特殊な性質を持った磁性流体
4. 工業的応用とサーマルマネジメントデバイスへの利用
5. 磁性流体を用いた熱輸送デバイスの今後
第2節 電源フリーの磁性流体循環熱輸送デバイスの開発動向
1. 磁性流体駆動式冷却デバイス
1.1 背景
1.2 磁性流体
1.3 デバイスの構成
1.4 駆動原理
1.5 駆動性能の進化
1.6 デバイスの性能
1.7 想定される応用例
2. 今後の応用開発
2.1 磁性流体駆動式冷却デバイスのまとめ
2.2 研究プロジェクト
第5章 電気流体力学(EHD)現象を利用した熱輸送デバイスの開発動向
1. 序論
2. EHD 流動
2.1 動作原理
2.1.1 絶縁性液体での電気伝導
2.1.2 イオンドラッグポンプ
2.1.3 コンダクションポンプ
2.1.4 インダクションポンプ
2.1.5 誘電泳動力
2.1.6 液面上昇
2.1.7 数元効果
2.2 液単相流での応用
2.2.1 イオンドラッグポンプの開発と温度依存性
2.3 気液二相流での応用
第6章 表面フォノンポラリトンによる熱輸送技術
1. 表面フォノンポラリトン
2. 熱伝導率と熱拡散率測定方法
3. SiO2超薄膜の作製
4. 熱伝導率と熱拡散率測定結果
第7章 5G 対応スマートフォンおよびミニ基地局の放熱対策部品の事例
1. 放熱の理由
2. 放熱の激しい電子部品
3. 放熱対策のバリエーション
4. 放熱対策部材のバリエーション
5. 5G 対応スマートフォンにおける放熱対策部材の事例
5.1 エラストマー
5.2 炭素黒鉛シート
5.3 銅箔
5.4 熱伝導パイプ(ベーパーチャンバー)
5.5 スマートフォンを使ったライフスタイルの変化
6. ミニ基地局における放熱対策部品の事例
6.1 ミニ基地局とは
6.2 基地局市場
6.3 スモールセルが必要な理由
6.4 ミニ基地局の概要
6.5 ミニ基地局の中身
6.6 放熱部材
6.7 結論
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匂い・香りの科学と評価・可視化・応用技術
~センシング技術の進展と呼気ガス分析・香り再現・演出等への展開~
車載用LiDARの市場・技術トレンド
~急速な成長を見せる車載LiDAR市場と採用・搭載レイアウト例、要素技術と低コスト化の進展、主要企業の製品動向まで~
光半導体とそのパッケージング・封止技術
~LED,レーザ,フォトダイオード,光ICなど、光半導体の種類・原理・用途から
封止・材料技術、ディスプレイや高速通信など先端応用に関わる開発課題まで~
金属ナノ粒子の合成・設計・制御と応用技術
半導体製造プロセスを支える洗浄・クリーン化・汚染制御技術
高周波対応基板の材料・要素技術の開発動向
環境発電・エネルギーハーベスティング技術―デバイス開発と応用展開―
~各種発電技術の仕組み・特徴、市場動向、先進的なデバイス・応用開発事例まで~
半導体封止材の設計・開発とその技術および市場動向
受講可能な形式:【ライブ配信】or【アーカイブ配信】のみ
インクジェットの各構成要素の総合知識と課題解決
受講可能な形式:【ライブ配信】or【アーカイブ配信】のみ
フィルムコンデンサの基礎、材料技術、開発動向と要求特性への課題
受講可能な形式:【ライブ配信】or【アーカイブ配信】のみ
レジスト・微細加工用材料への要求特性と最新技術動向
受講可能な形式:【Live配信(アーカイブ配信付)】のみ
<低誘電特性材料への低導体損失回路形成へ>高周波対応プリント配線板の現状・課題と新たな回路形成技術
受講可能な形式:【Live配信】のみ
金属ナノ粒子・微粒子の総合知識と応用技術
受講可能な形式:【Live配信】のみ
TIM(Thermal Interface Material)活用のための基礎知識と実際の使用例
受講可能な形式:【Live配信】のみ
電子デバイス製造における静電気対策(ESD対策)の基礎と測定法・効果的な対策
受講可能な形式:【Live配信】のみ
セラミックグリーンシート成形技術の総合知識
受講可能な形式:【ライブ配信】or【アーカイブ配信】のみ
【オンデマンド配信】次世代デバイスに使用される軟磁性材料への要求特性と高周波磁気特性計測法および応用技術
【オンデマンド配信】※会社・自宅にいながら学習可能です※
【オンデマンド配信】シリコンフォトニクス光集積回路技術の現状と課題およびその進化
【 2 名 同 時 申 込 で 1 名 無 料 】 対 象 セ ミ ナ ー
工場・プラントにおける防爆対応 火災・爆発災害防止に寄与する必要知識
受講可能な形式:【Live配信】or【アーカイブ配信】のみ
シリコンパワー半導体の性能向上・機能付加の最新動向と今後の展望 NEW
受講可能な形式:【Live配信(アーカイブ配信付)】のみ
自動車用パワーエレクトロニクスの基礎と技術動向
受講可能な形式:【会場受講】
高感度化フォトレジスト材料の合成・設計・開発技術
受講可能な形式:【ライブ配信】or【アーカイブ配信】のみ
実務に役立つ!アナログ回路設計 入門 NEW
受講可能な形式:【Live配信】のみ
【オンデマンド配信】特許情報からみた5G・6G材料開発戦争 [2022]
【 2 名 同 時 申 込 で 1 名 無 料 】 対 象 セ ミ ナ ー
【オンデマンド配信】特許情報からみたBeyond 5G 材料開発戦争[2023]
【 2 名 同 時 申 込 で 1 名 無 料 】 対 象 セ ミ ナ ー
【製本版 + ebook版】インクジェットインクの最適化 千態万様[進歩版]
次世代ウェアラブルデバイスに向けたフレキシブル・伸縮性エレクトロニクス技術とセンサ開発
~生体データを連続的・高精度に違和感なくセンシングするために~
~皮膚/生体貼付型・衣服型など未来のウェアラブルセンサに向けて~
半導体デバイス製造を支えるCMP技術の開発動向
~微細化・高集積化・難加工基板への対応で重要性が増すCMP技術の進展~
匂い・香りの科学と評価・可視化・応用技術
~センシング技術の進展と呼気ガス分析・香り再現・演出等への展開~
車載用LiDARの市場・技術トレンド
~急速な成長を見せる車載LiDAR市場と採用・搭載レイアウト例、要素技術と低コスト化の進展、主要企業の製品動向まで~
光半導体とそのパッケージング・封止技術
~LED,レーザ,フォトダイオード,光ICなど、光半導体の種類・原理・用途から
封止・材料技術、ディスプレイや高速通信など先端応用に関わる開発課題まで~
金属ナノ粒子の合成・設計・制御と応用技術
半導体製造プロセスを支える洗浄・クリーン化・汚染制御技術
高周波対応基板の材料・要素技術の開発動向
環境発電・エネルギーハーベスティング技術―デバイス開発と応用展開―
~各種発電技術の仕組み・特徴、市場動向、先進的なデバイス・応用開発事例まで~
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