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繊維リサイクルの最新動向と
混紡繊維・ポリアミド素材の革新的リサイクル技術

繊維製品のサーキュラーエコノミーの最新動向と課題・展望
綿/ポリエステルや綿/ポリウレタン等の混紡繊維の新しい資源循環技術
ポリアミドの酵素リサイクル技術と次世代生分解性ナイロンの開発

受講可能な形式:【ライブ配信(見逃し配信付き)】のみ
繊維産業は石油資源依存や大量廃棄という大きな課題を抱えており、資源循環システムの実現が喫緊に求められています。
本セミナーでは、繊維リサイクルの動向と課題・展望、最先端リサイクル技術と循環型素材開発の最新事例を3名の講師が解説します。

○第1部では、繊維廃材の実態、繊維to繊維リサイクル、回収・選別・分離技術、易リサイクル設計、環境調和型材料、環境配慮設計など、繊維製品のサーキュラーエコノミーの現状と課題・展望について俯瞰的に解説。

○第2部では、リサイクルが難しいとされる混紡繊維の新しい資源循環技術について解説。
マイクロ波選択加熱を利用した分離技術、ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルの統合的アプローチ、綿/ポリエステル・綿/ポリウレタン・三元混紡繊維・ウール含有繊維への適用など。

○第3部では、​難分解性素材であるナイロンを高効率にモノマーへ戻す化学的前処理と酵素加水分解を組み合わせたバイオロジカル・モノマー・リサイクル(BMR)技術、海洋生分解性を有する次世代ナイロンの開発、ナイロン資源循環の新たな展望などについて解説。
日時 2026年2月26日(木)  10:20~16:10
受講料(税込)
各種割引特典
55,000円 ( E-Mail案内登録価格 52,250円 ) S&T会員登録とE-Mail案内登録特典について
定価:本体50,000円+税5,000円
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2名で55,000円 (2名ともE-Mail案内登録必須​/1名あたり定価半額27,500円) 
3名で82,500円 (3名ともE-Mail案内登録必須​) 
※4名以上の場合も1名あたり27,500円で受講できます。
テレワーク応援キャンペーン(1名受講)【オンライン配信セミナー受講限定】
1名申込み: 受講料 44,000円(E-Mail案内登録価格 42,020円 )
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  ※1名様でオンライン配信セミナーを受講する場合、上記特別価格になります。
  ※お申込みフォームで【テレワーク応援キャンペーン】を選択のうえお申込みください。
  ※他の割引は併用できません。
特典■ライブ受講に加えて、見逃し配信でも1週間視聴できます■
【見逃し配信の視聴期間】2026年2月27日(金)~3月5日(木)まで
※このセミナーは見逃し配信付きです。セミナー終了後も繰り返しの視聴学習が可能です。
※ライブ配信を欠席し見逃し視聴のみの受講も可能です。
配布資料PDFテキスト(印刷可・編集不可)
開催2日前を目安に、弊社HPのマイページよりダウンロード可となります。
オンライン配信Zoomによるライブ配信 ►受講方法・接続確認申込み前に必ずご確認ください
備考※講義中の録音・撮影はご遠慮ください。
※開催日の概ね1週間前を目安に、最少催行人数に達していない場合、セミナーを中止することがございます。

セミナー講師

第1部【10:20~12:00】
「繊維リサイクルの最新動向と課題・今後の方向性」
京都工芸繊維大学 名誉教授 工学博士 木村 照夫 氏
専門:機械工学、繊維リサイクル
(一社)Textile Upcycle Platform 代表理事
(一社)Textile Circular Network 副理事長
(一社)日本繊維機械学会/繊維リサイクル技術研究会 委員長
第2部【13:00~14:30】
「混紡繊維の分離・リサイクル技術 」
大阪大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 教授 博士(工学) 宇山 浩 氏
専門:高分子材料化学
1987年 京都大学大学院工学研究科修士課程修了、花王(株)研究員、東北大学工学部助手、京都大学大学院工学研究科助手、助教授を経て、2004年より現職。その間、高分子材料化学に関する研究に従事。最近では高分子のナノ加工技術と用途開発、バイオプラスチックの合成・複合化・高性能化に関する研究を系統的に実施。
【研究室HP】http://www.chem.eng.osaka-u.ac.jp/~uyamaken/
第2部【14:40~16:10】
「ポリアミド(ナイロン)のバイオロジカル・モノマー・リサイクル技術と次世代生分解性ナイロンの開発」
鹿児島大学 大学院理工学研究科 理学専攻 博士(理学) 准教授 加藤 太一郎 氏
専門:酵素有機化学
2005年3月 慶應義塾大学大学院理工学研究科 後期博士課程修了
2002年4月-2005年3月 日本学術振興会特別研究員-DC1
2005年4月-2005年9月 日本学術振興会特別研究員-PD
2005年10月-2014年9月 兵庫県立大学大学院工学研究科 助教
2014年10月-2023年9月 鹿児島大学大学院理工学研究科 助教
2023年12月-現在 鹿児島大学大学院理工学研究科 准教授
【研究室HP】https://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/kato/

セミナー講演内容

第1部【10:20~12:00】

「繊維リサイクルの最新動向と課題・今後の方向性

 石油産業に次いで環境負荷が大きいと言われている繊維・ファッション産業において環境負荷低減策の構築は必要不可欠であるが、経済性重視の社会ではなかなかシステム構築が進まなかった。しかし昨今の環境問題への意識の向上から各方面で繊維リサイクルひいてはサーキュラーエコノミー構築を目指す企業が急速に増大している。ただし、とくにアパレルは様々な素材からなり、とくに98%を輸入に頼っているわが国ではシステム構築がなかなか進まないのが実情である。また、最近は環境問題が一種のブームになり、うわべだけの環境に優しいと言う商品もちらほらみられるようである。
 本講演では、繊維廃材の実態を見つめ直し、本当に環境に優しい繊維産業を構築するにはどのようにすれば良いか、作る責任、つかう責任(SDGs12)を参加者全員で考える機会になれば幸いである。

<得られる知識>
・繊維廃材の実態
・繊維リサイクルの動向
・繊維リサイクルの課題
・繊維リサイクルの方向性
・繊維製品のサーキュラーエコノミーについて

<主な受講対象者>
・繊維廃材の処理に困っている繊維業界、アパレル業界の方々。
・廃棄繊維回収量増大を目指す自治体の方々。
・リサイクルシステム構築を目指す方々。
・サステナブルファッション普及を目指す(専門学校)の先生、学生諸君。
・サーキュラーエコノミーに興味のある方々。
予備知識は不要です。

1.SDGsとサーキュラーエコノミー
 持続可能社会とは、作る責任/使う責任 etc.
 
2.繊維ビジョン(経産省)
 2030年までに必要な技術、繊維TO繊維 etc.
 
3.リサイクルとアップサイクル

 カラーリサイクルシステム、再生糸、建材 etc.
 
4.繊維製品の環境負荷

 CO2問題、水問題、海洋汚染、有害廃棄物 etc.
 
5.繊維廃材の実態

 衣服廃材、非衣服廃材、デッドストック、リユース・リサイクル率 etc.
 
6.回収、選別、分離技術

 自治体回収、店頭回収、近赤外線素材判別、熱水処理、異物除去 etc.
 
7.易リサイクル設計

 デジタルファッション、3Dプリンター、易反毛化、水平リサイクル性 etc.
 
8.認証制度、法制度

 Quality Label、Textile Exchange、EUエコ規制、JIS・ISO化、デジタルパスポートetc.
 
9.環境調和型材料
 バイオベース、リサイクル繊維、生分解性繊維、エコマテリアル etc.
 
10.グリーンウヲッシュ

 7つの大罪、SDGsウヲッシュ etc.
 
11.環境配慮設計
etc.

 □質疑応答□
 
第2部【13:00~14:30】

「混紡繊維の分離・リサイクル技術 」

 衣料品の大量廃棄は国内外で深刻化しており、とくに綿/ポリエステル、綿/ポリウレタンなどの混紡繊維は分離が困難なため、従来のリサイクル体系ではほぼ焼却に回されてきました。
 本講演では、マイクロ波選択加熱を利用した高速分離技術を中心に、混紡繊維を「繊維として再利用できる形で回収する」マテリアルリサイクルと、「モノマーまで戻す」ケミカルリサイクルを組み合わせた新しい資源循環技術を紹介します。
    
<得られる知識>
・混紡繊維がリサイクル困難とされてきた本質的理由
・マイクロ波選択加熱を利用した分離技術の仕組み
・綿/ポリエステル、綿/ポリウレタンの最新分離手法
・ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルの統合的アプローチ
・繊維産業における資源循環モデルの構築方法

<主な受講対象者>
・アパレルメーカー、繊維メーカー、商社、リサイクル事業者の技術担当
・自治体職員(繊維ごみ対策・資源循環担当)
・企業CSR・サステナビリティ部門
・化学プラント、リサイクル設備メーカー
・リサイクル・高分子化学の基礎知識を有することが好ましい

1. 混紡繊維リサイクルが難しい理由
 1.1 国内外の廃棄量の現状
 1.2 ストレッチ素材の普及と複雑化する素材構成
 1.3 既存の溶解プロセス・熱分解プロセスの限界

2.マイクロ波選択加熱の原理

3.綿/ポリエステル混紡の分別・リサイクル技術

 3.1 反応条件の設定
 3.2 本技術の適用範囲

4.綿/ポリウレタン混紡の分別・リサイクル技術

5.三元混紡繊維への適用

6.ウール含有繊維への適用

7.混紡繊維リサイクルの産業的インパクト

8.今後の展望


 □質疑応答□
 
第3部【14:40~16:10】

「ポリアミド(ナイロン)のバイオロジカル・モノマー・リサイクル技術と次世代生分解性ナイロンの開発」

 持続可能な循環型社会の実現には、二酸化炭素排出量の削減が不可欠である。そのため、これまで廃棄されてきた製品や素材のケミカルリサイクルの推進、化石資源に依存しないバイオ技術を活用した新たなモノづくりの創出、さらに環境と調和する次世代マテリアルへの転換が急務となっている。
 講演者らの研究グループは1970年代から、ポリアミド(ナイロン)を資化する微生物・酵素の研究を進め、独自のナイロン加水分解酵素群(Nyl series)を用いたケミカルリサイクル技術の開発に取り組んできた。その成果として、化学的前処理とNyl seriesによる酵素的加水分解を組み合わせ、ナイロンを高効率にモノマーへ戻すバイオロジカル・モノマー・リサイクル(BMR)技術を確立した。
 一方、ナイロンは海洋環境での利用が多いにもかかわらず、生分解を受けにくいため、ゴーストギア問題やマイクロプラスチック化が深刻化している。講演者らは海洋環境で分解可能な次世代ナイロンの開発も進めており、ジアミンとバイオ由来イタコン酸から誘導され、ピロリドン環を有するiNylon(アイニーロン)に着目している。
 本発表では、化学的前処理と酵素加水分解を組み合わせたナイロンのBMR技術、ならびに海洋生分解性を有する次世代ナイロンiNylonの研究を通じて、ナイロン資源循環の新たな展望を提示する。最終的には、「ゴミ」という概念をなくす循環型社会の実現に向けたビジョンを議論する。

<得られる知識>
ナイロンが環境に与える諸問題と世界が求めるリサイクルの必然性の理解から、酵素リサイクル技術、次世代生分解性ナイロンの開発までを一気通貫で理解することができる。得られる最も重要な知識としては、ナイロンという難分解性素材に対し、「分解する酵素」と「分解しやすい新素材」という両側面から資源循環を実現しようとする、世界的にも先端的なアプローチを学ぶことができることである。

<主な受講対象者>
本発表は、ポリアミド材料や高分子劣化・生分解性材料の研究に携わる高分子化学系の研究者をはじめ、Nyl seriesを含む加水分解酵素の改変や反応機構に関心を持つ酵素工学・生化学分野の研究者、さらにバイオマス由来モノマーや次世代循環型素材の開発を進める研究者を主な対象としています。また、海洋環境におけるマイクロプラスチック問題やゴーストギア対策に取り組む環境科学者・技術者、ナイロンのケミカルリサイクルや資源循環技術を求める産業界の技術者、プラスチック資源循環戦略や脱炭素政策に関わる行政担当者にも有益な内容です。加えて、材料科学・環境科学・バイオテクノロジーを学ぶ大学院生や若手研究者にとっても、学際的な観点から最新の研究動向を学べる機会となります。本発表に興味がある方であれば、予備知識は特に必要ありません。

1.循環型社会とCO₂削減の課題
 廃棄物問題、化石資源依存、マテリアル転換の必要性
 
2.ナイロンが抱える環境問題
 生分解性の欠如/海洋でのゴーストギア・マイクロプラ問題
 
3.講演者らのナイロン研究の歴史(1970年代〜)
 ナイロン資化微生物・酵素の探索と基礎研究
 
4.Nyl series酵素(NylA, NylB, NylC)の特徴と役割
 各酵素の加水分解様式と機能の違い
 
5.化学前処理+酵素加水分解によるBMR技術の概要
 独自技術としてのバイオロジカル・モノマー・リサイクル(BMR)技術の確立
 
6.高分子ナイロンのモノマー化実験とリサイクル効率
 ほぼ100%モノマー化を実現したプロセスと評価
 
7.海洋環境におけるナイロンの課題
 非生分解性による長期残存と環境インパクト
 
8.次世代生分解性ナイロン「iNylon」のコンセプト
 イタコン酸由来/ピロリドン環構造/環境調和性
 
9.iNylonの光劣化メカニズムおよび実環境暴露試験の結果
 UV誘導の主鎖切断・水溶性化/生分解挙動の検証
 
10.ナイロン資源循環への展望と「ゴミゼロ社会」への道筋
 BMR技術+次世代ナイロンが拓く循環型社会のビジョン

 □質疑応答□