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凍結乾燥の最適な条件設定による品質の安定化
-ラボ機と生産機の性能の違いを反映させたスケールアップ-

~設備バリデーションによる無菌性保証と                   
           バイオ医薬品等の活用事例における乾燥時間短縮に向けたアプローチ~

発刊日 2020年1月30日
体裁B5判並製本  232頁
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ISBNコード978-4-86428-209-3
CコードC3047
※当書籍は絶版となりました。(更新:2023/4/2)※

<本書のポイント>

■適切な製造条件の設定による工程時間の短縮乾燥時間の見極めに向けて

■凍結乾燥工程の
スケールアップ
 -ラボ機と生産機の性能の違いを理解した
                                            凍結乾燥条件の設定、一次乾燥時間の見極め-


リスクアセスメントにより重要工程パラメータや重要物質特性を明確化し,
 標準となる手法を有した効率的な
管理戦略の構築とは、、、

■数学的モデルに基づいた
CMAs(製品温度,乾燥抵抗など)やCPPs(棚温度,
 真空度,乾燥時間など)を考慮した
プロセス設計とは、、、

■乾燥中の製品の昇華面温度があらかじめ予測される
    
コラプス温度以上とならないような操作条件を適用にするには、、

トラブル(失敗)事例から考える製品品質の安定化

■凍結乾燥工程の理解による
良質なバイオ医薬品製剤の安定供給に向けて

  

<書籍要旨>
 
【1】凍結乾燥のメカニズム/数学的モデルによるシミュレーション実施

  凍結乾燥プロセスの理解に必須となる凍結乾燥操作、凍結乾燥過程、品質を中心にメカニズムについて解説。
  これらは乾燥速度の決定メカニズム、品質変化の進行メカニズムの理解につながり最適化の指針を得るために重要である。
  
凍結乾燥は他の多くの乾燥手法と比べて乾燥所要時間が長い。乾燥過程を適切な数学的モデルによってシミュレーション
  できることは乾燥時間の予測のみならず、乾燥過程における適切な加温プログラムの合理的な選択を可能とするため非常に
  有用でありデザインスペースを計算することも可能である。

 

【2】品質劣化を避け効率的で無駄のないスケールアップの達成を目指した製造方法
     ~ラボ機と生産機の違いを適切に反映させた製造条件の設定~


  凍結乾燥工程は注射剤の製造工程の中でも特にスケールアップの難しい工程である。
  使用する凍結乾燥機のサイズが製造量に合わせてラボスケールの凍結乾燥機(ラボ機)から治験薬や商用製品を生産するための
  凍結乾燥機(生産機)へと大きくなる。この際に品質劣化をさせないことに加えて
効率的で無駄のない製造方法を確立することも
  大変重要である。
凍結乾燥プロセスのスケールアップに取り組むときはスケールアップに伴う様々な影響を吸収できる
堅牢な
  プロセス条件をラボで作ることまたラボ機と生産機の違いを適切に反映させたプロセス条件を生産機に適用することが重要。
 
【3】凍結乾燥にとって必要な設備バリデーションと設備機能の考え方
   ~無菌性保証と凍結乾燥プロセス面から設備バリデーションで何を実施すべきか~


  凍結乾燥はプロセスそのものが真空であるため、設備の真空リーク量に対して厳密な管理が必要となる。 他の無菌製剤設備との
  大きな違いはこの部分にある。また、
凍結乾燥の無菌性保証には、設備の洗浄、滅菌フィルタ完全性試験など様々な対応が必要
  である。
  バリデーションの各検証項目において検証内容、判定基準を解説するとともに、設備設計の考え方についてを解説する。

  適切な設備設計とバリデーションにより工程の無菌性を高度に保証することが可能となっている一方で、製薬会社においては
      無菌保証システムを含む設備の理解があまり進んでいない現状もある。
 
【4】リスクアセスメントに基づいた凍結乾燥のプロセス設計/
                     凍結制御技術を利用したデザインスペースを確立するためのアプローチ

       
  
高品質な製品を設計するために水分や熱に不安定な化合物の無菌製剤製造においては凍結乾燥法が最も有効な乾燥手段の1つ
  である。一方で、本製造法は
製品品質のコントロールが難しく製品品質の逸脱が発生した場合の損害は甚大である。
  凍結乾燥プロセスの設計手法はQbD の概念によく一致しているが生産性および製品品質のばらつきの程度を決定する最も
  重要な凍結ステップを制御できていないことは、頑健なデザインスペース確立の妨げになっている原因の1つとなっており
  凍結乾燥領域の解決すべき課題である。
  
リスクアセスメントに基づいた凍結乾燥のプロセス設計の手法、凍結制御技術を利用した頑健なデザインスペースを確立
  するためのアプローチそしてそれらを保証するためのPAT に関して解説する。

 

【5】凍結乾燥のトラブル事例と解決策
  
  凍結乾燥時の乾燥不良については原因追及が困難な場合が多い。低温で長時間かけて乾燥を行えば、失敗を避けることは
  可能であるが、生産効率が著しく悪くなり出来高に影響を与える。また、装置起因のトラブルによりバッチ全体の製品が
  出荷できなくなる事例もあり、装置の適正な維持管理も重要なポイントになる。
  本書では
「プログラムおよび物性起因」「装置起因」「スケールアップ、サイトチェンジ」の観点からみたトラブル事例
  
「機器メンテナンスと規格」についてを解説。
  品質面・コスト面でバランス良く安定的な生産ができるのかを探り、出荷判定基準値にクリアする製品を安定生産することが
  重要である。

  

【6】凍結乾燥技術の最新動向と「バイオ医薬品/タンパク質医薬品」
                                                        「ペプチド原薬」「再生医療」における活用

         
  
 ・「最新動向」  :<密閉型チューブ式凍結乾燥システム(ICS凍結乾燥機)>
             
密閉型チューブ式凍結乾燥は周囲環境の影響を受けない密閉環境の中で無菌・無塵性を維持し,
             薬液などの原料投入から凍結乾燥,粉末化までを連続的に行うことが可能である。
             昨今、連続生産技術が確立され生産現場への導入が進み、無菌製剤でも望まれているが
             有効性は認められてはいても実現は困難を極めている。
             解決策の一つとして本装置を有効活用にするために特徴を解説。
           
           
<バッチ凍結乾燥プロセスの研究動向>
             
凍結の制御と凍結と製品物性との関わりに関する研究はまだまだ途上段階にありまだまだ多くの
             研究が必要となる。近年の凍結乾燥プロセス開発の大きな動きでは、重要な操作パラメータを適切に
             モニターすることにより良い運転条件を見いだし操作へとフィードバックさせることで乾燥時間を
             可能な限りの短縮実現である。​
             また、凍結乾燥プロセスにおける大きな課題のひとつが過冷却解除のコントロールであり制御する
             機構を取り入れた乾燥装置が開発されている。

 ・「バイオ医薬品」:
<処方と工程設計および品質評価を他医薬品との比較>
             
注射剤としての適切な品質確保、原薬を有効利用するためにも特性を理解した製剤と工程設計が
             求められる。また、開発で重要となる溶液と凍結乾燥製剤の選択では多面的に検討されている。
             課題を抱えつつも凍結乾燥が継続して選択される理由として、多くの実績と研究から製品品質への
             リスク要因が明確となっており合理的な管理方法の設定が可能となっていることが挙げられる。

 ・「タンパク質」 :
<凍結乾燥プロセス検討に触れるとともに検討で得られた知見>
             
タンパク質は化学的安定性のみならず、その複雑な構造を保持することが非常に重要となることから
             水溶液中で長期保存安定性の確保が困難となることがあり,凍結乾燥技術が重宝されている。
             一方でランニングコストが高いプロセスであるため、実生産においては短い工程時間でコストを
             ​最小限にするために各乾燥工程で様々な最適化検討がなされている。限られた製造回数の中で
             効率的かつ戦略的に必要データを取得する実験計画の立案とは、、

 ・「ペプチド原薬」:
<凍結乾燥工程におけるスケールアップの取り組み事例>
             
1次乾燥は非常に時間がかかる上に乾燥に要する時間や品温は実際に実施してみないとよくわからない
             ことが大きな課題である。凍結乾燥における1 次乾燥の乾燥時間と品温のシミュレーションを試みた。
             このシミュレーション結果から見出された内容とは、、、
  
 ・「再生医療」  :
<バイオマテリアル技術による再生医療への応用 ~DDS技術~>
             
再生医療における細胞へのアプローチ,DDS の材料調製に凍結乾燥技術は必要不可欠である。
             バイオマテリアル研究から細胞になじみのある材料が知られ材料を凍結乾燥することで、
             種々の3次元スポンジがつくられている。3次元足場材料の代表がコラーゲンスポンジであり
             その作製に凍結乾燥が活用されている。
             凍結乾燥技術を細胞足場の調製に応用するべき必要性はきわめて大きく薬の徐放化DDS 技術に
             利用する徐放化担体の調製にも凍結乾燥技術が重要な位置を占めている。