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【改正GMP省令対応シリーズ3】
改正GMP省令で要求される
『CAPA(是正措置・予防措置)』導入・運用手順

~実施すべきCAPA の7ステップ~

付録1 是正処置・予防処置実施規程ひな形
付録2 是正処置・予防処置実施手順書ひな形
付録3 CAPAフォーム

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著者(株)イーコンプライアンス  代表取締役 村山 浩一 氏
【講師紹介】

~年間10件以上のFDA査察対応をこなす!FDA査察対応のスペシャリスト~

【活動】
医薬品業界・医療機器業界を担当し30年以上のキャリアをもつ。
医薬品企業・医療機器企業における、コンピュータ化システムの品質保証(CSV、Part11対応)をはじめ、リスクマネジメント、CAPA(是正処置および予防処置)、QMS構築支援、FDA査察対応等のコンサルテーションなどを幅広く展開している。
サイエンス&テクノロジー株式会社におけるセミナー開催、著作等多数。
発刊日 2023年1月27日
体裁B5判並製本  約140頁
価格(税込)
各種割引特典
38,500円 ( E-Mail案内登録価格 36,575円 ) S&T会員登録とE-Mail案内登録特典について
定価:本体35,000円+税3,500円
E-Mail案内登録価格:本体33,250円+税3,325円
(送料は当社負担)
アカデミー割引価格:26,950円(24,500円+税)
ISBNコード978-4-86428-220-8
CコードC3047
<【改正GMP省令対応シリーズ】今後の予定>
 【改正GMP省令対応シリーズ1】データインテグリティ(発売中)
 【改正GMP省令対応シリーズ2】品質システム(発売中)
 【改正GMP省令対応シリーズ3】CAPA(発売中)
 【改正GMP省令対応シリーズ4】品質リスクマネジメント
 【改正GMP省令対応シリーズ5】バリデーション
◆改正GMP省令で定義されている『CAPA』と様々な箇条での要求事項を紐解く◆
◆自社でカスタマイズし活用できるCAPA規定・手順書ひな形付◆

付録1 是正処置・予防処置実施規程ひな形 
付録2 是正処置・予防処置実施手順書ひな形 
付録3 CAPAフォーム 

 
◆本書の主なポイント◆

■改正GMP 省令とCAPA■
是正措置とは発生した問題の再発防止であり,予防措置とは生じ得る不適合,つまりリスクの未然防止である

■文書及び記録の管理■
なぜ手順書に問題があったのか,なぜそのような記録になっていたのかということの根本的原因を突き止めて再発を防止し,その他の同様の問題が起きないようにリスクを見つけて予防措置をとるということが要求されている。これも各社の手順書に付け加えなければならない。

■CAPAの適用範囲■
OOS や自己点検(すなわち内部監査の指摘事項,外部監査の指摘事項)及び逸脱等である。
OOS には品質試験,安定性試験及び環境モニタリング試験におけるものも該当する。


■修正,是正措置,予防措置の違い■
是正措置と予防措置の違いは,顕在化と潜在化の違いである。ただし,どちらも仕事の改善である。
是正措置は起きた問題に対処するため,放置することができない。是正措置は実施必須事項である。
一方,予防措置は,まだ起きていない事象にまで手を広げることである。


■FDA の査察の傾向■
FDA の査察の手法は,追跡調査なのである。関連するプロセスを追跡していくのである。
これらの質問を見ていくと,対応する部門がいくつにも跨っていることがわかる。また,資料も跨っている。これらの質問に対し,企業は速やかに回答しなければならないのである。


■ワーニングレターの例■
『苦情の受付・審査・及び評価を正式に指名された部門によって行うための手順書が適切に作成されていなかった。』
『FDA に報告すべき事象を示すかどうかを決定するための必要な苦情情報の集計又は当該情報の評価について,手順書に記載がなかった。』
『是正及び予防措置の手順書が適切に作成されていなかった。』
『顧客の苦情に関連したCAPAフォームには,変更(是正措置)された新しい手順への言及が含まれておらず,かつ更新した手順に関するスタッフ教育の文書が含まれていない。』


■CAPA の7 ステップ■
製薬企業が実施すべきCAPA の7 ステップは以下の通りである。
 ステップ1 Identification(識別)
 ステップ2 Evaluation(評価)
 ステップ3 Investigation(調査)
 ステップ4 Analysis(分析)
 ステップ5 Action Plan(行動計画)
 ステップ6 Implementation(実施)
 ステップ7 Follow Up(フォローアップ)

<ポイント詳細> 

 改正GMP 省令とCAPA 
  
<一部抜粋> 
『CAPA』とは何であるのかについて,改正GMP 省令の定義で説明しよう。第2条(定義)の第14項において,この省令で「是正措置」とは,検知された不適合(この省令に規定する要求事項等に適合しないことをいう。以下同じ。)その他の望ましくない状況の再発を防止するため,その原因となった状態を解消する措置をいう。」と規定されている。
要するに,是正措置というのは再発を防止することである。
また,第15項に「この省令で「予防措置」とは,生じ得る不適合その他の望ましくない状況の発生を未然に防止するため,その原因となり得る状態を解消する措置をいう。」とある。「生じ得る不適合」を一言でいうと「リスク」である。まだ起きていない不適合,将来起きるかもしれない問題のことをリスクという。要するに,予防措置とはリスク管理のことである。まとめると,是正措置とは発生した問題の再発防止であり,予防措置とは生じ得る不適合,つまりリスクの未然防止である。改正GMP 省令では,このCAPA が様々な箇条において要求されている。

 
 文書及び記録の管理 
 <一部抜粋>
第20条「文書及び記録の管理」にも是正措置及び予防措置に関する規定がある。第2項第4号に「手順書等若しくは記録に欠落があった場合又はその内容に不正確若しくは不整合な点が判明した場合においては,その原因を究明し,所要の是正措置及び予防措置をとること。」とある。品質システムの各手順書や記録に欠落があった場合,またミスがあった場合には,当然修正をしなければならない。ただし,修正のみを実施すると再発する可能性があるため,
なぜ手順書に問題があったのか,なぜそのような記録になっていたのかということの根本的原因を突き止めて再発を防止し,その他の同様の問題が起きないようにリスクを見つけて予防措置をとるということが要求されている。これも各社の手順書に付け加えなければならない。


 CAPAの適用範囲 
 <一部抜粋>
▪ OOS(品質確認試験)
▪ OOS(安定性試験)
▪ OOS(環境モニタリング試験)
▪自己点検の指摘事項
▪外部監査の指摘事項
▪逸脱
▪日常的でない事象,現象,事故
▪変更時再バリデーション時の期待されない結果
▪年次照査時の逸脱,トレンド異常
▪品質等に関する情報及び品質不良等の処理
▪回収に至った原因の調査

CAPA のインプットの対象とすべきはOOS や自己点検(すなわち内部監査の指摘事項,外部監査の指摘事項)及び逸脱等である。OOS には品質試験,安定性試験及び環境モニタリング試験におけるものも該当する。OOS は逸脱の最たるものだが,その他の逸脱,例えば手順書の不遵守や構造設備,分析機器の故障,また,日常的でない事象,現象,事故,すなわち異常が発生した場合にもCAPAを実施すべきである。「異常」とは,まだ逸脱になっていないが起きているトレンド現象(例,冷蔵庫の庫内温度が設定温度の5℃から7℃になっていた)等のことをいう。飛び値があった場合や日常的でない事象,現象,事故等も異常に含まれる。ヒヤリ・ハットを含め,このような異常についてもCAPA を実施することを推奨する。


  修正,是正措置,予防措置の違い 
 <一部抜粋>
修正は不適合に対する処置であり,応急処置ともいえる。予防措置はまだ欠陥や苦情にまで至っていないが,それらを未然に防ぐことである。
是正措置と予防措置の違いは,顕在化と潜在化の違いである。ただし,どちらも仕事の改善である。是正措置は起きた問題に対処するため,放置することができない。是正措置は実施必須事項である。一方,予防措置は,まだ起きていない事象にまで手を広げることである。企業の知恵を結集して,どこにどんな問題がありそうか探らなければならない。また,予防措置は容易く実行に移すことが困難であることも事実である。まだ起きていない問題に対処するための費用・時間・労力・効果について検討する必要があるからである。


  FDA の査察の傾向 
 <一部抜粋>
FDAの査察では,深く狭い範囲において査察をされることがある。医療機器企業はISO 13485やISO 9001の認証を受けていると思うが,認証機関(Notified body)が行う監査は要素監査と呼ばれる。要するに規制要件に対し,1対1でチェックを行っている。1つ1つの規制要件に関してQMS(手順書)に該当する記載があればOK であり,記載がなければNG である。その内容は問われない。
一方で
FDAの査察の手法は,追跡調査なのである。例えば,ある顧客苦情に関して,苦情一覧表を見て,当該苦情に対して,
 ◦いつ,苦情を受け取ったか
 ◦根本的な原因は何であったか
 ◦当局報告の要否を判断したか
 ◦顧客へどのように回答したか
 ◦ CAPA を実施したか
 ◦手順書(又はその他関連資料)の何を変更したか
 ◦変更後の手順書に関して,教育訓練をいつ,誰に実施したか

このように関連するプロセスを追跡していくのである。これらの質問を見ていくと対応する部門がいくつにも跨っていることがわかる。また,資料も跨っている。これらの質問に対し,企業は速やかに回答しなければならないのである。そのため,情報の連携が重要なのである。常に情報が芋づる式に見つかっていく仕組みを構築する必要がある。