核酸医薬品のCMC管理戦略(品質評価・不純物管理)
~出発物質・品質規格設定・DDSアプローチ・スケールアップ・特許戦略~
~核酸医薬品対象GLが存在しない中、何を判断基準に、どのように品質確保していくか~
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監修 | 小比賀 聡 大阪大学大学院薬学研究科 井上 貴雄 国立医薬品食品衛生研究所 |
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発刊日 | 2022年9月29日 |
体裁 | B5判並製本 197頁 フルカラー |
価格(税込)
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ISBNコード | 978-4-86428-292-5 |
Cコード | C3047 |
第2章 39,41ページ 掲載の図に誤りがございます。下記(PDF)のとおりお詫び方々訂正いたします。
正誤表(P39,41)
<訂正箇所>
P39:図7上段右端の図:Base → Base2
P41:化合物構造にて、5’位の炭素が不足
<核酸医薬品の品質評価と不純物管理の在り方>
◎核酸医薬の品質評価や不純物管理のあり方を検討する際は個別に分析学的特性を把握
◎得られる不純物プロファイルなどが有効性,安全性あるいは薬物動態に及ぼす影響の考察
◎開発品目ごとにケースバイケースでの対応が重要な指標となる不純物の閾値とは
◎変異原性不純物のリスク評価方法とは
<核酸医薬品の合成方法・出発物質の品質管理・工程管理とスケールアップ>
◎核酸医薬品に用いられている修飾核酸の構造とその合成方法
◎オリゴヌクレオチド原薬の品質に直接影響を与える出発物質の品質管理とは
◎大スケールでの製造を見越した液相合成についても検討
<核酸医薬品に必要な非臨床試験実施とDDSアプローチ>
◎核酸医薬品に特有の性質を踏まえた非臨床試験の組み立て方及び留意点とは
◎アンチセンスを中心に,吸収,分布,代謝,排泄の順で薬物動態特性プロファイルを解説
◎血小板関連毒性が発現するリスクについて霊長類の非臨床毒性試験の評価が重要
◎核酸医薬の薬物間相互作用,バイオアナリシス,免疫原性について
<核酸医薬品の特許戦略(調査と特許性判断)>
◎オリゴ核酸に特定の修飾を与えることによる改良(選択発明)特許,
リガンドやキャリアを付与することによる改良(用途)特許,
デリバリーツール自体の特許,修飾核酸の製法特許など多種多様に存在
<核酸医薬品の実用化事例>
◎デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するエクソン・スキップ薬の開発事例
◎RNAi の原理やLNP 製剤のLNP-siRNA 治療薬の開発事例
<ポイント詳細> ◆核酸医薬品の品質評価と不純物管理の在り方
◎品質評価の考え方/出発物質の品質管理/不純物と管理戦略/規格値設定 ・核酸医薬の品質評価や不純物管理のあり方を検討する際には,核酸医薬モダリティについて 個別に分析学的特性を把握すると共に,得られる不純物プロファイルなどが有効性,安全性あるいは 薬物動態に及ぼす影響について各開発品目の特性を踏まえながら考察する必要がある。 ・医薬品の品質規格を設定するうえで重要となる指標に不純物の閾値がある。 ・ICHガイドラインに従って残留の程度を評価することが求められる。とくに変異原性不純物は, 考慮事項通知に記載されているように,ICH M7 を参考にリスク評価を実施する必要がある。 ◆核酸医薬品の合成法・出発物質の品質管理・工程管理とスケールアップ
◎修飾核酸の合成(各反応ステップ)/出発物質の定義とリスク分類/固相合成,液相合成 ・核酸医薬品の製造過程で生じる可能性のある不純物について産生される原因と併せて説明し、 さらに核酸医薬品への応用が期待される,またはすでに核酸医薬品に用いられている 修飾核酸の構造やその合成方法についても概説する。 ・核酸医薬品製造において,出発物質の品質はオリゴヌクレオチド原薬の品質に直接影響を与える。 ・核酸医薬品開発の進捗に伴い,大スケールでの製造を見越した液相合成についても検討がなされており, 疎水性保護基を利用した合成手法や,可溶性担とanofiltration を組み合わせた合成手法, 複数のフラグメントを収束させる合成手法などの研究開発も盛んになされている。 ◆核酸医薬品に必要な非臨床試験実施とDDSアプローチ
◎核酸医薬品に適切な非臨床試験実施/実用化に向けたDDSアプローチ
・核酸医薬品の非臨床試験を計画する際,低分子医薬品及びバイオ医薬品,両方の非臨床試験の考え方を 理解し,適切な非臨床試験を組み立てる必要がある。 ・アンチセンス医薬品,特にS 化オリゴ核酸においては血小板関連毒性が発現するリスクについて 霊長類の非臨床毒性試験の評価が重要である。 ・アンチセンスを中心に,吸収,分布,代謝,排泄の順で薬物動態特性プロファイルを説明した後に, 薬物動態関連のトピックとして核酸医薬の薬物間相互作用,バイオアナリシス,免疫原性についても 触れたい。本章の後半では,核酸医薬品の実用化に向けたDDSアプローチについても概説。 ◆核酸医薬品の特許戦略(調査と特許性判断)
◎低分子モダリティと比較すると物質特許以外にも数多くの出願をなす機会がある
・核酸医薬品は核酸モダリティそれ自体の物質特許の重要度は高いものの,オリゴ核酸に特定の修飾を 与えることによる改良(選択発明)特許,リガンドやキャリアを付与することによる改良(用途)特許, デリバリーツール自体の特許,修飾核酸の製法特許など,開発ステージと共に必要となり, 汎用性のある周辺技術が多種多様に存在し得る。 ・核酸医薬は様々な要素技術の集合体であり,様々なカテゴリの特許が影響し得るため,予想だにしない 他者特許が開発に影響を与え得る。特に核酸モダリティ(物質)に関する特許については,競合企業が 保有していた場合ライセンスを受けることは通常困難であり,開発初期の段階から丁寧な 特許調査・先行技術調査をしておくことが重要である。 ◆核酸医薬品の実用化事例
◎DMD 遺伝子のエクソン44 スキップ薬/RNAi の原理やLNP 製剤のLNP-siRNA 治療薬
・DMD 遺伝子のエクソン44 スキップ薬であるNS-089/NCNP-02 の開発を進め,2021 年度中に 医師主導治験第1/2 相試験を成功裏に完了した。 本稿では,DMD に対するエクソン・スキップ薬開発の現状と課題を述べる。 ・RNAi の原理やLNP 製剤のLNP-siRNA 治療薬であるパシチランLNP 及びコンジュゲート製剤の GalNAc-siRNA 治療薬であるギボシランの開発について概説する。 |
概要
本書では、核酸医薬品の研究開発、評価・規制の第一線で実際に活躍されておられる専門家の方々に執筆をお願いし、核酸医薬品の実用化・製品化に取り組む上で重要となる事項を系統的に整理することができた。第1章、第2章では、本書を読み進むにあたりまず理解しておきたい情報として、核酸医薬品の開発動向や核酸化学に関する最新の知見がわかりやすくまとめられている。第3章、第4章では、核酸医薬品の品質評価に関するこれまでの議論の経緯に加え、核酸医薬品の製造において留意すべき出発物質の品質、工程管理やスケールアップの考え方を、また第5章、第6章では非臨床試験の実施に関する留意点、核酸医薬品の動態特性とDDSに関する最新情報をそれぞれ専門的な立場より解説していただいた。第7章では、核酸医薬品の研究開発を行う上で欠かせない特許戦略の基本が整理されている。第8章では我が国で承認されている核酸医薬品について、研究開発から医薬品としての承認に至るまでのプロセスを開発者の目線から説明していただいた。
核酸医薬品の研究開発に現在携わっている研究者、あるいはこれから携わろうとしている研究者が、核酸医薬品の研究開発の全体像を整理し理解を深めるために、本書がその一助となれば幸いである。
編者を代表して
小比賀 聡
著者
■編著者■ |
小比賀 聡 大阪大学大学院薬学研究科 |
井上 貴雄 国立医薬品食品衛生研究所 |
■著者■ |
冨田 恵麗沙 甲南大学 |
秋田 智香 甲南大学 |
川上 純司 甲南大学 |
伊藤 浩介 (独)医薬品医療機器総合機構 |
佐藤 秀昭 ルクサナバイオテク(株) |
関口 光明 塩野義製薬(株) |
太田 明宏 味の素バイオファーマサービス (株)ジーンデザイン |
井上 聡 味の素バイオファーマサービス (株)ジーンデザイン |
伊藤 俊輔 味の素バイオファーマサービス (株)ジーンデザイン |
玄番 岳践 ラボコープ・ディベロップメント・ジャパン(株) |
高草 英生 第一三共(株) |
小崎 知広 (株)Medical Patent Research |
青木 吉嗣 (国研)国立精神・神経医療研究センター |
武田 伸一 (国研)国立精神・神経医療研究センター |
鎌倉 稔 Alnylam Japan(株) |
久保 貴弘 Alnylam Japan(株) |
書籍趣旨
本書の章立て第1章 核酸医薬品の開発動向
|
各章の内容紹介 <本文抜粋>
( 国立医薬品食品衛生研究所 井上 貴雄 / 著)
……(本文へ続く)
( 甲南大学 冨田 恵麗沙 秋田 智香 川上 純司 / 著)
……(本文へ続く)
「第1節 核酸医薬品の品質評価に関する10 年間の議論の経緯 」
( (独)医薬品医療機器総合機構 伊藤 浩介 / 著)
……(本文へ続く)
( ルクサナバイオテク(株) 佐藤 秀昭 / 著)
( 塩野義製薬(株) 関口 光明 / 著)
( 味の素バイオファーマサービス (株)ジーンデザイン 太田 明宏 井上 聡 伊藤 俊輔 /著)
近年,核酸医薬品開発の進捗に伴い,大スケールでの製造を見越した液相合成についても検討がなされており,JIPHASEⓇに代表される疎水性保護基を利用した合成手法や,可溶性担とanofiltration を組み合わせた合成手法,複数のフラグメントを収束させる合成手法などの研究開発も盛んになされている。 ……(本文へ続く)
(ラボコープ・ディベロップメント・ジャパン(株) 玄番 岳践/著)
(第一三共(株) 高草 英生/著)
((株)Medical Patent Research 小崎 知広/著)
((国研)国立精神・神経医療研究センター 青木 吉嗣 武田 伸一/著)
DMD 遺伝子のエクソン44 スキップ薬であるNS-089/NCNP-02 の開発を進め,2021 年度中に医師主導治験第1/2 相試験を成功裏に完了した。本稿では,DMD に対するエクソン・スキップ薬開発の現状と課題を述べる。……(本文へ続く)
(Alnylam Japan(株) 鎌倉 稔 久保 貴弘/著)
RNAi の原理やLNP 製剤のLNP-siRNA 治療薬であるパシチランLNP 及びコンジュゲート製剤のGalNAc-siRNA 治療薬であるギボシランの開発について概説する。……(本文へ続く)
目次
第1章 核酸医薬品の開発動向
はじめに
1. 核酸医薬の性質
1.1 核酸医薬の定義
1.2 核酸医薬の分類
1.3 核酸医薬の分子量
1.4 核酸医薬の細胞内移行
1.5 核酸医薬に用いられる修飾核酸
2. 核酸医薬の開発動向
2.1 開発動向の全体像
2.2 アンチセンス医薬の開発動向
(1)RNA 分解型アンチセンス
(2)スプライシング制御型アンチセンス
(3)miRNA 阻害型アンチセンス
2.3 siRNA 医薬
2.4 miRNA 医薬
2.5 アプタマー医薬
おわりに
第2章 核酸医薬品と核酸化学
はじめに
1. 核酸医薬品について
2. オリゴヌクレオチドの合成と不純物の生成
2.1 DNA(デオキシリボ核酸),RNA(リボ核酸)の構造
2.2 ホスホロアミダイト法
2.3 合成ストラテジーの概略
2.4 ホスホロアミダイト法で使用される保護基
2.4.1 塩基
2.4.2 リン酸
2.4.3 糖(2’- デオキシリボース及びリボース)
2.5 DNA 合成の実際
2.6 RNA の合成方法
2.7 核酸医薬品製造に関わる不純物
2.7.1 アミダイトの不純物
2.7.2 リンカー由来の不純物
2.7.3 合成反応サイクル中に生じる不純物
ⅰ . 塩基部構造に関連する不純物
ⅱ . リン酸構造に関連する不純物
ⅲ . 糖部(リボース)構造に関連する不純物
3. 修飾核酸の合成
3.1 修飾核酸の種類
3.1.1 塩基
3.1.2 リン酸
3.1.3 糖(リボース)修飾
3.1.4 その他
3.2 修飾核酸の合成
3.2.1 塩基
3.2.2 リン酸
3.2.3 糖(リボース)
おわりに
第3章 核酸医薬品の規格値設定と品質評価
第1 節 核酸医薬品の品質評価に関する10 年間の議論の経緯
はじめに
1. 核酸医薬品の品質に関する規制整備の経緯
1.1 対象範囲について
1.2 安定性
1.3 不純物
1.3.1 オリゴヌクレオチド類縁物質
1.3.2 その他
1.4 原薬及び製剤の管理
1.4.1 確認試験
1.4.2 定量法
1.4.3 生物活性
1.4.4 立体異性体
おわりに
第2 節 核酸医薬品製造における出発物質の品質管理
はじめに
1. 背景
1.1 核酸医薬品開発における議論
2. 製造工程と出発物質(SM)の定義
2.1 製造工程と出発物質(SM)の定義
2.2 アミダイト体に求められる不純物管理
2.3 生産が確立されていない新規ヌクレオシド由来アミダイト体の品質設計
2.4 リガンド及びリンカーの品質設計
おわりに
第3 節 核酸医薬品の不純物と管理戦略
はじめに
1. オリゴヌクレオチド原薬の製造工程
1.1 固相合成~切り出し工程
1.2 精製~凍結乾燥工程
2. オリゴヌクレオチド原薬に含まれる不純物
2.1 不純物の分類とガイドライン
2.2 オリゴヌクレオチド由来不純物の構造
2.2.1 ヌクレオチド間結合に関連する不純物
2.2.2 リン酸バックボーンに関連する不純物
2.2.3 核酸塩基構造に関連する不純物
2.2.4 糖構造に関連する不純物
3. 不純物の管理戦略
3.1 オリゴヌクレオチド原薬の分析法開発と不純物の群管理
3.2 不純物管理に関する閾値の考え方
3.3 不純物に関連する重要工程の理解
3.3.1 出発物質に含まれる不純物の管理
3.3.2 合成~精製工程のプロセス最適化
3.3.3 精製フラクション選抜の重要性
3.4 リン酸バックボーンに由来する立体異性体混合物の一貫性
3.5 変異原性不純物の管理
おわりに
第4章 核酸医薬品 製造における工程管理とスケールアップ
はじめに
1.オリゴ核酸の合成
1.1 固相合成機
1.2 固相合成担体の選択
1.3 アミダイト原料
1.4 オリゴ核酸の合成
1.5 脱保護
1.6 精製
1.7 脱塩
1.8 凍結乾燥
2.オリゴ核酸の スケールアップ 製造
2.1 合成工程
2.2 脱保護工程
2.3 精製工程
2.4 スケールアップ実例紹介
3.工程分析(インプロセスコントロール及びモニタリング)
3.1 合成工程
3.2 精製工程
3.3 脱塩工程
4.保存安定性
4.1 中間生成物の安定性試験
4.2 原薬の安定性試験
第5章 核酸医薬品に必要な非臨床試験実施・留意点
はじめに
1. 核酸医薬品の非臨床試験の考え方
1.1 アンチセンス
1.2 siRNA
1.3 アプタマー
1.4 核酸医薬品の非臨床試験を考える上で留意すべき点
1.4.1 核酸医薬品類縁物質
1.4.2 サロゲート(代替核酸)の利用
1.4.3 オフターゲット作用
2. 薬理試験
2.1 動物種の選択及びサロゲートの使用
2.2 オフターゲット作用の評価
2.3 安全性薬理試験
3. 薬物動態試験
3.1 生体試料中のオリゴ核酸の分析方法
3.2 核酸医薬品の薬物動態的特徴
4. 核酸医薬品の非臨床毒性試験
4.1 核酸医薬の非臨床毒性評価の考え方
4.2 一般毒性試験
4.2.1 動物種の選択
4.2.2 サロゲートを用いる場合の課題
4.2.3 核酸医薬品に共通の毒性(クラスエフェクト)
4.3 遺伝毒性試験
4.4 生殖発生毒性試験
4.5 がん原性試験
4.6 代謝物の毒性試験
4.7 免疫毒性
5. 非臨床試験から臨床試験への橋渡し
5.1 イノテルセンの非臨床及び臨床試験成績の概要
5.1.1 非臨床試験の概要
5.1.2 臨床安全性
5.2 パチシランの非臨床及び臨床試験成績の概要
5.2.1 非臨床試験の概要
5.2.2 パチシラン:臨床安全性
おわりに
第6章 核酸医薬品の動態的特性とDDS アプローチ
はじめに
1. 核酸医薬品の薬物動態的特性
1.1 吸収と血中動態
1.2 分布
1.3 代謝
1.4 排泄
1.5 薬物間相互作用
1.6 免疫原性
1.7 バイオアナリシス
2. 核酸医薬品に対するDDS アプローチ
2.1 キャリアを用いるDDS
2.2 化学修飾によるDDS
おわりに
第7章 核酸医薬特許の考え方と調査
第1 節 核酸医薬特許の基礎
1. 核酸医薬における特許の考え方
2. 特許性
3. 要素技術と新規性
3.1 要素技術
3.2 新規性
4. 進歩性
5. 作用機序
6. 核酸医薬特許のクレーム表現
6.1 配列の改変
6.2 オープンエンド・クローズドエンド
おわりに
第2 節 核酸医薬特許の調査
1. 先行技術調査の必要性
2. 特許調査の方法
3. 特許データベースを用いた調査
3.1 特許分類
3.2 核酸医薬品調査に用いる特許分類
3.3 キーワード
3.4 開発者の立場から最初に実施すべき調査
4. 配列データベースを用いた調査
4.1 配列表とINSDC(国際塩基配列データベース)
4.2 BLAST での検索方法
おわりに
第8章 核酸医薬品の実用化事例
第1節 デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するエクソン・スキップ薬の開発
はじめに
1.デュシェンヌ型筋ジストロフィー
2.DMDを対象にした治療法開発の現状
2.1 アンチセンス核酸医薬品によるエクソン・スキップ治療
2.2 DMDを対象にしたエクソン53スキップ薬の開発
2.3 DMDを対象にしたエクソン44スキップ薬の開発
2.4 その他のDMDを対象にしたエクソン・スキップ薬開発の現状
3. DMDを対象にした核酸医薬品開発の課題
4. 遺伝子・細胞治療研究の展望
おわりに
第2節 siRNA 医薬の開発
はじめに
1. RNA 干渉(RNAi)と医薬品への応用
1.1 RNAi の発見
1.2 RNAi の原理
2. siRNA 製剤における安全性評価
2.1 ガイドライン
2.2 評価戦略
2.3 動物種の選択
2.4 用量設定
2.5 代謝物/ 分解物
2.6 不純物
2.7 ドラッグデリバリーシステム(DDS)製剤
3. siRNA 医薬品(LNP 製剤)の開発事例
3.1 パチシランLNP の概要
3.2 疾患及び標的遺伝子
3.3 分子設計
3.3.1 RNA の設計
3.3.2 LNP の設計
3.3.3 作用機序
3.3.4 製剤化工程とLNP 処方の最適化
3.3.5 原薬及び製剤の管理
3.3.6 原薬及び製剤の安定性
3.4 LNP に関連した課題
(1)製剤の製造スケール変更前後における同等性/ 同質性
(2)製剤のバイアル内壁に認められる白色被膜の品質への影響
(3)製剤の放出試験
(4)注射関連反応(IRR)
4. siRNA 医薬品(GalNAc 製剤)の開発事例(ギボシランの開発)
4.1 ギボシランの概要
4.2 疾患及び標的遺伝子
4.3 分子設計
4.3.1 ギボシランナトリウムの構造及び作用機序
4.3.2 原薬及び製剤の製造工程と管理
4.3.3 原薬及び製剤の安定性
4.4 体内における分布
4.5 安全性
概要
本書では、核酸医薬品の研究開発、評価・規制の第一線で実際に活躍されておられる専門家の方々に執筆をお願いし、核酸医薬品の実用化・製品化に取り組む上で重要となる事項を系統的に整理することができた。第1章、第2章では、本書を読み進むにあたりまず理解しておきたい情報として、核酸医薬品の開発動向や核酸化学に関する最新の知見がわかりやすくまとめられている。第3章、第4章では、核酸医薬品の品質評価に関するこれまでの議論の経緯に加え、核酸医薬品の製造において留意すべき出発物質の品質、工程管理やスケールアップの考え方を、また第5章、第6章では非臨床試験の実施に関する留意点、核酸医薬品の動態特性とDDSに関する最新情報をそれぞれ専門的な立場より解説していただいた。第7章では、核酸医薬品の研究開発を行う上で欠かせない特許戦略の基本が整理されている。第8章では我が国で承認されている核酸医薬品について、研究開発から医薬品としての承認に至るまでのプロセスを開発者の目線から説明していただいた。
核酸医薬品の研究開発に現在携わっている研究者、あるいはこれから携わろうとしている研究者が、核酸医薬品の研究開発の全体像を整理し理解を深めるために、本書がその一助となれば幸いである。
編者を代表して
小比賀 聡
著者
■編著者■ |
小比賀 聡 大阪大学大学院薬学研究科 |
井上 貴雄 国立医薬品食品衛生研究所 |
■著者■ |
冨田 恵麗沙 甲南大学 |
秋田 智香 甲南大学 |
川上 純司 甲南大学 |
伊藤 浩介 (独)医薬品医療機器総合機構 |
佐藤 秀昭 ルクサナバイオテク(株) |
関口 光明 塩野義製薬(株) |
太田 明宏 味の素バイオファーマサービス (株)ジーンデザイン |
井上 聡 味の素バイオファーマサービス (株)ジーンデザイン |
伊藤 俊輔 味の素バイオファーマサービス (株)ジーンデザイン |
玄番 岳践 ラボコープ・ディベロップメント・ジャパン(株) |
高草 英生 第一三共(株) |
小崎 知広 (株)Medical Patent Research |
青木 吉嗣 (国研)国立精神・神経医療研究センター |
武田 伸一 (国研)国立精神・神経医療研究センター |
鎌倉 稔 Alnylam Japan(株) |
久保 貴弘 Alnylam Japan(株) |
書籍趣旨
本書の章立て第1章 核酸医薬品の開発動向
|
各章の内容紹介 <本文抜粋>
( 国立医薬品食品衛生研究所 井上 貴雄 / 著)
……(本文へ続く)
( 甲南大学 冨田 恵麗沙 秋田 智香 川上 純司 / 著)
……(本文へ続く)
「第1節 核酸医薬品の品質評価に関する10 年間の議論の経緯 」
( (独)医薬品医療機器総合機構 伊藤 浩介 / 著)
……(本文へ続く)
( ルクサナバイオテク(株) 佐藤 秀昭 / 著)
( 塩野義製薬(株) 関口 光明 / 著)
( 味の素バイオファーマサービス (株)ジーンデザイン 太田 明宏 井上 聡 伊藤 俊輔 /著)
近年,核酸医薬品開発の進捗に伴い,大スケールでの製造を見越した液相合成についても検討がなされており,JIPHASEⓇに代表される疎水性保護基を利用した合成手法や,可溶性担とanofiltration を組み合わせた合成手法,複数のフラグメントを収束させる合成手法などの研究開発も盛んになされている。 ……(本文へ続く)
(ラボコープ・ディベロップメント・ジャパン(株) 玄番 岳践/著)
(第一三共(株) 高草 英生/著)
((株)Medical Patent Research 小崎 知広/著)
((国研)国立精神・神経医療研究センター 青木 吉嗣 武田 伸一/著)
DMD 遺伝子のエクソン44 スキップ薬であるNS-089/NCNP-02 の開発を進め,2021 年度中に医師主導治験第1/2 相試験を成功裏に完了した。本稿では,DMD に対するエクソン・スキップ薬開発の現状と課題を述べる。……(本文へ続く)
(Alnylam Japan(株) 鎌倉 稔 久保 貴弘/著)
RNAi の原理やLNP 製剤のLNP-siRNA 治療薬であるパシチランLNP 及びコンジュゲート製剤のGalNAc-siRNA 治療薬であるギボシランの開発について概説する。……(本文へ続く)
目次
第1章 核酸医薬品の開発動向
はじめに
1. 核酸医薬の性質
1.1 核酸医薬の定義
1.2 核酸医薬の分類
1.3 核酸医薬の分子量
1.4 核酸医薬の細胞内移行
1.5 核酸医薬に用いられる修飾核酸
2. 核酸医薬の開発動向
2.1 開発動向の全体像
2.2 アンチセンス医薬の開発動向
(1)RNA 分解型アンチセンス
(2)スプライシング制御型アンチセンス
(3)miRNA 阻害型アンチセンス
2.3 siRNA 医薬
2.4 miRNA 医薬
2.5 アプタマー医薬
おわりに
第2章 核酸医薬品と核酸化学
はじめに
1. 核酸医薬品について
2. オリゴヌクレオチドの合成と不純物の生成
2.1 DNA(デオキシリボ核酸),RNA(リボ核酸)の構造
2.2 ホスホロアミダイト法
2.3 合成ストラテジーの概略
2.4 ホスホロアミダイト法で使用される保護基
2.4.1 塩基
2.4.2 リン酸
2.4.3 糖(2’- デオキシリボース及びリボース)
2.5 DNA 合成の実際
2.6 RNA の合成方法
2.7 核酸医薬品製造に関わる不純物
2.7.1 アミダイトの不純物
2.7.2 リンカー由来の不純物
2.7.3 合成反応サイクル中に生じる不純物
ⅰ . 塩基部構造に関連する不純物
ⅱ . リン酸構造に関連する不純物
ⅲ . 糖部(リボース)構造に関連する不純物
3. 修飾核酸の合成
3.1 修飾核酸の種類
3.1.1 塩基
3.1.2 リン酸
3.1.3 糖(リボース)修飾
3.1.4 その他
3.2 修飾核酸の合成
3.2.1 塩基
3.2.2 リン酸
3.2.3 糖(リボース)
おわりに
第3章 核酸医薬品の規格値設定と品質評価
第1 節 核酸医薬品の品質評価に関する10 年間の議論の経緯
はじめに
1. 核酸医薬品の品質に関する規制整備の経緯
1.1 対象範囲について
1.2 安定性
1.3 不純物
1.3.1 オリゴヌクレオチド類縁物質
1.3.2 その他
1.4 原薬及び製剤の管理
1.4.1 確認試験
1.4.2 定量法
1.4.3 生物活性
1.4.4 立体異性体
おわりに
第2 節 核酸医薬品製造における出発物質の品質管理
はじめに
1. 背景
1.1 核酸医薬品開発における議論
2. 製造工程と出発物質(SM)の定義
2.1 製造工程と出発物質(SM)の定義
2.2 アミダイト体に求められる不純物管理
2.3 生産が確立されていない新規ヌクレオシド由来アミダイト体の品質設計
2.4 リガンド及びリンカーの品質設計
おわりに
第3 節 核酸医薬品の不純物と管理戦略
はじめに
1. オリゴヌクレオチド原薬の製造工程
1.1 固相合成~切り出し工程
1.2 精製~凍結乾燥工程
2. オリゴヌクレオチド原薬に含まれる不純物
2.1 不純物の分類とガイドライン
2.2 オリゴヌクレオチド由来不純物の構造
2.2.1 ヌクレオチド間結合に関連する不純物
2.2.2 リン酸バックボーンに関連する不純物
2.2.3 核酸塩基構造に関連する不純物
2.2.4 糖構造に関連する不純物
3. 不純物の管理戦略
3.1 オリゴヌクレオチド原薬の分析法開発と不純物の群管理
3.2 不純物管理に関する閾値の考え方
3.3 不純物に関連する重要工程の理解
3.3.1 出発物質に含まれる不純物の管理
3.3.2 合成~精製工程のプロセス最適化
3.3.3 精製フラクション選抜の重要性
3.4 リン酸バックボーンに由来する立体異性体混合物の一貫性
3.5 変異原性不純物の管理
おわりに
第4章 核酸医薬品 製造における工程管理とスケールアップ
はじめに
1.オリゴ核酸の合成
1.1 固相合成機
1.2 固相合成担体の選択
1.3 アミダイト原料
1.4 オリゴ核酸の合成
1.5 脱保護
1.6 精製
1.7 脱塩
1.8 凍結乾燥
2.オリゴ核酸の スケールアップ 製造
2.1 合成工程
2.2 脱保護工程
2.3 精製工程
2.4 スケールアップ実例紹介
3.工程分析(インプロセスコントロール及びモニタリング)
3.1 合成工程
3.2 精製工程
3.3 脱塩工程
4.保存安定性
4.1 中間生成物の安定性試験
4.2 原薬の安定性試験
第5章 核酸医薬品に必要な非臨床試験実施・留意点
はじめに
1. 核酸医薬品の非臨床試験の考え方
1.1 アンチセンス
1.2 siRNA
1.3 アプタマー
1.4 核酸医薬品の非臨床試験を考える上で留意すべき点
1.4.1 核酸医薬品類縁物質
1.4.2 サロゲート(代替核酸)の利用
1.4.3 オフターゲット作用
2. 薬理試験
2.1 動物種の選択及びサロゲートの使用
2.2 オフターゲット作用の評価
2.3 安全性薬理試験
3. 薬物動態試験
3.1 生体試料中のオリゴ核酸の分析方法
3.2 核酸医薬品の薬物動態的特徴
4. 核酸医薬品の非臨床毒性試験
4.1 核酸医薬の非臨床毒性評価の考え方
4.2 一般毒性試験
4.2.1 動物種の選択
4.2.2 サロゲートを用いる場合の課題
4.2.3 核酸医薬品に共通の毒性(クラスエフェクト)
4.3 遺伝毒性試験
4.4 生殖発生毒性試験
4.5 がん原性試験
4.6 代謝物の毒性試験
4.7 免疫毒性
5. 非臨床試験から臨床試験への橋渡し
5.1 イノテルセンの非臨床及び臨床試験成績の概要
5.1.1 非臨床試験の概要
5.1.2 臨床安全性
5.2 パチシランの非臨床及び臨床試験成績の概要
5.2.1 非臨床試験の概要
5.2.2 パチシラン:臨床安全性
おわりに
第6章 核酸医薬品の動態的特性とDDS アプローチ
はじめに
1. 核酸医薬品の薬物動態的特性
1.1 吸収と血中動態
1.2 分布
1.3 代謝
1.4 排泄
1.5 薬物間相互作用
1.6 免疫原性
1.7 バイオアナリシス
2. 核酸医薬品に対するDDS アプローチ
2.1 キャリアを用いるDDS
2.2 化学修飾によるDDS
おわりに
第7章 核酸医薬特許の考え方と調査
第1 節 核酸医薬特許の基礎
1. 核酸医薬における特許の考え方
2. 特許性
3. 要素技術と新規性
3.1 要素技術
3.2 新規性
4. 進歩性
5. 作用機序
6. 核酸医薬特許のクレーム表現
6.1 配列の改変
6.2 オープンエンド・クローズドエンド
おわりに
第2 節 核酸医薬特許の調査
1. 先行技術調査の必要性
2. 特許調査の方法
3. 特許データベースを用いた調査
3.1 特許分類
3.2 核酸医薬品調査に用いる特許分類
3.3 キーワード
3.4 開発者の立場から最初に実施すべき調査
4. 配列データベースを用いた調査
4.1 配列表とINSDC(国際塩基配列データベース)
4.2 BLAST での検索方法
おわりに
第8章 核酸医薬品の実用化事例
第1節 デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対するエクソン・スキップ薬の開発
はじめに
1.デュシェンヌ型筋ジストロフィー
2.DMDを対象にした治療法開発の現状
2.1 アンチセンス核酸医薬品によるエクソン・スキップ治療
2.2 DMDを対象にしたエクソン53スキップ薬の開発
2.3 DMDを対象にしたエクソン44スキップ薬の開発
2.4 その他のDMDを対象にしたエクソン・スキップ薬開発の現状
3. DMDを対象にした核酸医薬品開発の課題
4. 遺伝子・細胞治療研究の展望
おわりに
第2節 siRNA 医薬の開発
はじめに
1. RNA 干渉(RNAi)と医薬品への応用
1.1 RNAi の発見
1.2 RNAi の原理
2. siRNA 製剤における安全性評価
2.1 ガイドライン
2.2 評価戦略
2.3 動物種の選択
2.4 用量設定
2.5 代謝物/ 分解物
2.6 不純物
2.7 ドラッグデリバリーシステム(DDS)製剤
3. siRNA 医薬品(LNP 製剤)の開発事例
3.1 パチシランLNP の概要
3.2 疾患及び標的遺伝子
3.3 分子設計
3.3.1 RNA の設計
3.3.2 LNP の設計
3.3.3 作用機序
3.3.4 製剤化工程とLNP 処方の最適化
3.3.5 原薬及び製剤の管理
3.3.6 原薬及び製剤の安定性
3.4 LNP に関連した課題
(1)製剤の製造スケール変更前後における同等性/ 同質性
(2)製剤のバイアル内壁に認められる白色被膜の品質への影響
(3)製剤の放出試験
(4)注射関連反応(IRR)
4. siRNA 医薬品(GalNAc 製剤)の開発事例(ギボシランの開発)
4.1 ギボシランの概要
4.2 疾患及び標的遺伝子
4.3 分子設計
4.3.1 ギボシランナトリウムの構造及び作用機序
4.3.2 原薬及び製剤の製造工程と管理
4.3.3 原薬及び製剤の安定性
4.4 体内における分布
4.5 安全性
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