機能性ハードコート材料技術
= 「耐擦傷性」「防汚性」の向上へ! =
~技術動向、UV硬化、ハイブリッド、トレンド技術、応用・評価~
発刊日 | 2013年6月21日 |
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体裁 | B5判並製本 316頁 |
価格(税込)
各種割引特典
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66,000円
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アカデミー割引価格46,200円(42,000円+税) |
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ISBNコード | 978-4-86428-073-0 |
Cコード | 3058 |
◎ 透明性!傷つかない!指紋が付着しない!様々なタイプのハードコーティングがわかる1冊。
著者
桐原 修 | バイエル マテリアルサイエンス(株) |
佐内 康之 | 東亞合成(株) |
朝田 泰広 | 大成ファインケミカル(株) |
佐熊 範和 | アトミクス(株) |
矢澤 哲夫 | 兵庫県立大学 |
山田 保治 | 神奈川大学 【前 京都工芸繊維大学 特任教授】 |
兼松 孝之 | DIC(株) |
杉本 英樹 | 名古屋工業大学 |
中西 英二 | 名古屋工業大学 |
谷口 孝 | ティーエーケミカル(株) 顧問 【元 東レ 機能材料研所長】 |
村口 良 | 日揮触媒化成(株) |
丹羽 淳 | (株)KRI |
伊藤 隆彦 | (株)フロロテクノロジー |
石田 康之 | 東レ(株) |
岩谷 忠彦 | 東レ(株) |
高田 育 | 東レ(株) |
小長谷 重次 | 名古屋大学 |
清水 武洋 | 伊藤光学工業(株) |
渡部 秀敏 | 日立化成テクノサービス(株) |
唯岡 英介 | 日立化成テクノサービス(株) |
南保 幸男 | 南保技術研究所 【元 日華化学 部長】 |
書籍趣旨
最近のタッチパネル搭載機器の拡大にともない、業界専門誌のみならず、一般紙でもタッチパネルやその原材料関連の記事をよく目にする。タッチパネルの用途も従来のカーナビ、ATM、電車・列車の自動券売機に加え、最近のスマートフォン、タブレット、電子ブックへの適用が需要拡大の原動力と思われる。
タッチパネルは上述した方式を問わず,各種素材膜の複層で構成されているため,多様な素材・基材・接着剤や粘着剤の張り合わせプロセスを経て製造されている。その工程内や製品になった後の外観・機能保護を目的にした保護塗装が施されていることが多い。その中でも傷つき防止・耐摩耗性を目的としたいわゆる「ハードコート」が多く適用されている。
-----------(第1章 バイエル マテリアルサイエンス 桐原氏 執筆「はじめに」より抜粋) -----------
上記のような用途の他にも、フィルム、プラスチック、塗料、コーティング膜は自動車・精密機器・身の回りの生活品などより多くの製品に用いられ、「耐擦傷性」「防汚性」「耐指紋付着性」などのさらなる機能性がますます求められています。
そのような中、本書では総合的に「機能性透明ハードコート」とし、市場・技術動向から各種化学材料(モノマー・オリゴマー、UV硬化型、有機・無機ハイブリッド型、ゾルゲル法、UV硬化型有機・無機ハイブリッド、ポリシロキサン系、ウレタン系、アクリル系、フッ素系、撥水・撥油剤)から、試験・評価方法、また応用・トレンド技術も含めてまとめました。
また、当社ではこれらハードコート関連セミナーの参加者も多くご要望も多いため、本書を企画いたしました。みなさまの研究開発・技術力向上へと、お役に立てる1冊となることを願っております。 (書籍担当)
目次
第1章 機能性ハードコート材料における市場・技術動向
1. ハードコートへのアプローチ
2. ハードとソフト
3. ハードコート・プラスチック塗装の歴史
3.1 プラスチック用塗料・塗装の歴史
3.2 プラスチック用塗料の種類と分類
3.2.1 塗膜層
3.2.2 化学組成
3.2.3 硬化形式と硬化条件
3.3 塗装工程
3.3.1 前洗浄
3.3.2 塗装工程
3.3.3 塗膜性能
3.4 ハードコートの歴史
4. ハードコートの現状
4.1 ハードコート概略
4.2 シリコーン系ハードコート
4.3 UV硬化系ハードコート
4.4 ハイブリッド型ハードコート
4.5 ハードコートの設計、材料、配合
4.6 ハードコートの市場概要
4.7 ハードコートの用途と要求性能
5. 機能性ハードコート材料の技術動向
5.1 ウレタンアクリレート
5.2 デュアル・キュアーとその応用事例
5.3 ハイブリッド系の概略
5.3.1 有機バインダー/無機パーティクル
5.3.2 無機バインダー/無機パーティクル
5.3.3 有機バインダー/無機バインダー/パーティクル
6. 機能性ハードコートとその材料系
6.1 更なる耐擦り傷性改良
6.1.1 高硬度獲得
6.1.2 自己修復性
6.2 光学特性
6.3 耐汚染性・耐指紋性
6.4 高耐久性の必要要項・特性
6.4.1 屋外用途
6.4.2 屋内用途
6.5 ハードコートの成形性
6.5.1 ノンフォーマブル ハードコート
6.5.2 フォーマブル ハードコート
7. 機能性ハードコートの産業構造
8. 今後の方向性
第2章 UVハードコート用モノマー・オリゴマーの特徴と機能性付与
1. 一般的なハードコート材料の種類と特徴
2. 基材に反りや変形をもたらす要因
3. ハードコート用モノマー・オリゴマーへの機能性付与
3.1 高耐候性ハードコート用モノマー・オリゴマー
3.2 防汚性ハードコート用モノマー・オリゴマー
3.3 ハードコート用モノマー・オリゴマーの屈折率調整
3.3.1 高屈折率を有するハードコート用モノマー・オリゴマー
3.3.2 低屈折率を有するハードコート用モノマー・オリゴマー
3.4 帯電防止用ハードコート用モノマー・オリゴマー
第3章 UVハードコート膜の調製とその評価
1. UV硬化アクリルモノマー、オリゴマー
2. UV硬化アクリルポリマーの設計
2.1 アクリルモノマー
2.2 ラジカル重合の合成例
2.3 マクロモノマーの合成例
2.4 UV硬化アクリルポリマーの合成
2.5 UVラジカル硬化
2.6 UV硬化アクリルポリマーの設計の幅
3. IMD(In-mold Decoration)、IML(In-mold Label)にUVポリマーを利用した例
3.1 加飾技術
3.2 IMD
3.3 IML
3.4 塗膜物性
3.5 UVポリマーと硬化剤を併用した例
3.6 伸びを重視したUV硬化アクリルウレタンポリマーの設計
4. 光学フィルム用向けUVポリマーを使用した例
4.1 反射防止フィルム
4.2 塗膜物性
第4章 有機・無機ハイブリッドハードコート技術
第1節 無機-有機ハイブリッドハードコート材料の設計と機能性向上
1. 無機-有機ハイブリッド樹脂の基礎
1.1 コーティング材料
1.2 ハイブリッドハードコーティング材料
1.3 有機高分子と無機高分子
1.4 ポリシロキサン結合
1.5 ハイブリッドの考え方
1.6 ゾルゲル法とハイブリッド樹脂設計
2. ハイブリッド樹脂各論
2.1 無機-有機複合架橋型樹脂
2.1.1 無機-有機複合架橋型ハイブリッド樹脂
2.1.2 無機-有機ハイブリッド型水性架橋剤
2.1.3 無溶剤高膜厚型アクリル-シロキサンハイブリッド樹脂
2.2 ナノシリカ系ハイブリッド樹脂
2.2.1 水性ナノシリカ-シラン-ウレタン系ハイブリッド樹脂
2.2.2 ナノシリカ-シラン-アクリル系ハードコート樹脂
2.2.3 ナノシリカ含有無機-有機ハイブリッド型UV硬化樹脂
3. 無機-有機ハイブリッド型ハードコート材
3.1 ハイブリッド型ハードコート材の樹脂設計
3.2 “硬さ”の測定方法
3.3 “見える傷”と“見えない傷”
3.4 もっと硬く、さらに硬く
3.5 ガラスライクな表面へ
4. ハードコートの高機能化
4.1 ナノ粒子を使いこなす
4.2 ハードコートに機能性を付与する
4.3 機能性ハードコート
4.3.1 ウルトラハードコート材
4.3.2 防汚型ハードコート材(汚染除去性)
4.3.3 高耐候性ハードコート材(UV吸収性)
4.3.4 熱線吸収性ハードコート材(IR吸収性)
4.3.5 インモールド成型用ハードコート材
4.3.6 その他ハードコートの機能化
第2節 ゾルゲル法による機能性ハードコート剤の設計とその評価及び最新動向
1. ハードコート剤の設計
1.1 ゾルゲル法
1.2 有機無機ナノハイブリッド化
2. ハードコーティング
2.1 プラスチックス基材
2.2 コーティングの方法
3. ハードコートの物性
3.1 基本的な特性
3.1.1 硬度、耐擦傷性
3.1.2 密着性
3.1.3 柔軟性
3.1.4 耐熱性
3.2 その他の機能
3.2.1 化学的耐久性
3.2.2 光学機能
3.2.2.1 透明性
3.2.2.2 低屈折率、高屈折率、低反射
3.2.3 撥水、親水性
4. 評価法
4.1 硬度、耐摩耗性
4.2 柔軟性
4.3 密着性の評価
4.4 耐熱性
4.5 化学的耐久性
4.6 透明性
4.7 耐候性
4.8 膜厚
5. 最新動向
5.1 一液コート
5.2 帯電防止
5.3 ガスバリア
第5章 UV硬化型有機・無機ハイブリッドハードコート技術
第1節 UV硬化型有機-無機ハイブリッドハードコート剤 ~シリカ/アクリル~
1. 有機-無機ハイブリッド材料
1.1 有機-無機ハイブリッド材料の概要
1.2 有機-無機複合材料の分子設計
1.3 有機-無機複合材料の合成法
2. UV硬化型アクリル系ハイブリッドハードコート剤
2.1 ハードコート剤の概要
2.2 UV硬化型アクリル系ハイブリッドハードコート剤の設計
2.3 UV硬化型アクリル系ハイブリッドハードコート剤の調製
2.4 UV硬化型アクリル系ハイブリッドハードコート膜の物性
3. ハイブリッドハードコート剤およびハイブリッドハードコート付き樹脂シート
第2節 UV硬化型無機・有機ハイブリッドハードコート材料 ~ポリシロキサン―アクリル~
1. UV硬化型ポリシロキサン-アクリルハイブリッド樹脂
1.1 MFG(Multi-Function-Glass Resin)の構造
1.2 MFGの特徴
1.2.1 耐候性
1.2.2 セルフクリーニング性
1.2.3 塗工適性
1.2.4 成形用材料としての適用可能性
2. MFGの応用可能性
2.1 高耐候ハードコート塗料
2.2 黄変防止可能な高耐候コート材
第6章 その他ハードコート技術におけるトレンド技術
第1節 ウレタンアクリレート系ハードコート材料の柔軟性向上
1. ウレタンアクリレートの調製と製膜
2. 各種評価
3. TEAを用いたウレタンアクリレートの塗膜物性評価
4. Gを用いたウレタンアクリレートの塗膜物性評価
第2節 ポリシロキサン系材料によるハードコート技術
1. ハードコート技術の基礎
2. ポリシロキサン系ハードコート技術
3. ポリシロキサン系ハードコート技術の反応収縮
4. 均一系分子内有機・無機ハイブリッド技術
5. 不均一系有機・無機ハイブリッド技術
6. 不均一系有機・無機ハイブリッド技術の進化
第3節 ナノ粒子配合によるハードコート膜形成 ~シリカ系ナノコンポジット~
1. ハードコート膜の設計
1.1 ナノ粒子配合型ハードコート設計
1.2 バインダー設計
1.3 ナノ粒子設計
2. ハードコート膜への機能性付与
2.1 ナノ粒子配合による硬度付与
2.2 帯電防止
2.3 反射防止
2.4 カーリング抑制型ハードコート
2.5 アンチブロッキング型ハードコート
3. 今後の展開
第4節 フッ素系撥水撥油剤による耐指紋性・防汚技術
1. 有機フッ素化合物の特徴
1.1 有機フッ素化合物の特徴
1.2 臨界表面張力
2. 従来の撥水撥油剤
2.1 従来の撥水撥油剤
2.2 従来の撥水撥油剤の生体蓄積性と規制
3. 代替化合物とその問題点
4. 新規撥水撥油剤
4.1 コンセプト
4.1.1 C4化合物の選択
4.1.2 C4化合物の整列
4.1.3 相互作用性官能基
4.2 新規撥水撥油剤
4.2.1 分子設計
4.2.2 ガラスの撥水撥油性
4.2.3 綿布の撥水性
4.3 新規撥水撥油剤のコーティング
4.3.1 ガラスへのコーティング
4.3.2 有機基材へのコーティング
4.4 新規撥水撥油剤の合成
4.5 新規撥水撥油剤の耐久性
4.6 コーティング厚み
4.7 C6化合物への応用
4.7.1 C6化合物の合成
4.7.2 C6化合物の撥水撥油性
4.7.3 C6化合物のコーティング
4.7.4 C6化合物のコーティング厚み
5. 新規撥水撥油剤の用途
第5節 フッ素系コーティングによる防汚技術と耐久性評価
1. フッ素系コーティング剤の防汚メカニズム
1.1 表面張力の基礎
1.2 防汚性のメカニズム
2. フッ素系コーティング剤の種類と特徴・用途
2.1 フッ素系コーティング剤の種類と特徴
2.1.1 従来型撥水撥油剤
2.1.2 保護・防湿コーティング剤
2.1.3 反応型防汚コーティング剤(シランカップリング型)
2.1.4 UV硬化型防汚コーティング剤
2.1.5 アモルファス型フッ素コーティング剤
3. フッ素コーティング剤の摩耗性評価
3.1 防汚性の評価
3.1.1 拡張収縮法
3.1.2 滑落法
3.1.3 ウイルヘルミィ法(吊り板法)
4. 耐摩耗性の評価
4.1 ディスプレイメーカーでの評価方法例
4.2 弊社の提案
4.3 簡易評価(油性インキ・テスト)
5. 実際の評価例と基準
5.1 滑落法接触角と摩擦試験を組み合わせた評価例
5.1.1 試料作成条件
5.1.2 試験条件
5.1.3 摩擦条件
5.2 簡易防汚試験と滑落法接触角を組み合わせた評価例
5.3 判定基準
5.3.1 接触角についての判断基準
5.3.2 簡易試験についての判断基準
6. フッ素系防汚コーティング剤(反応型)使用上のノウハウ
6.1 塗布方法
6.2 乾燥方法
第6節 ナノ凹凸構造を有する指紋付着防止フィルム
1. 耐指紋性の定量評価技術
(・模擬指紋汚れの定量付着 ・指紋汚れの定量測定)
2. ナノ構造を有する指紋付着防止フィルム
(・高撥油性の付与 -指紋汚れの“付きにくさ”- ・ナノ凹凸構造の形成 -指紋汚れの“見えにくさ”-)
第7節 フィルムの滑り性とフィラーによる耐スクラッチ性の向上
1. アンチブロッキング法
1.1 フィラーを用いる方法
1.2 ポリマー特性を利用した方法
2. フィラー特性がフィルムの滑り性に与える効果
2.1 フィラー種・形状
2.2 フィラー径・量
3. フィラー特性がフィルムの透明性に与える効果
3.1 フィラー径
3.2 フィラー及びフィルム基材の屈折率
3.3 ボイド
4. フィルムの耐スクラッチ性向上
第7章 ハードコートの応用技術
第1節 眼鏡用プラスチックレンズへのハードコート技術
~無機・有機ナノ複合体による耐衝撃性ハードコートの開発~
1. 無機・有機ナノ複合体の作成
2. 眼鏡用プラスチックレンズ用無機・有機ハイブリッドハードコート剤
3. ハードコートの塗布方法
4. 評価方法(例)
5. さらなる高機能化
(・高屈折率ハードコート材料)
第2節 ガラスコートによる表面機能化技術 ~ガラスの低温成膜~
1 ガラスコート材料
1.1 パーヒドロキシポリシラザン(PHPS)
1.2 ポリシラザンのシリカ転化
2. ハードコート性
3. その他の表面機能化
3.1 ガスバリア性
3.1.1 処理条件と水蒸気ガスバリア性
3.1.2 低温処理技術
3.2 反射防止性能
3.2.1 Anti-Reflectionコートへの応用
3.2.2 ガラスコートの低屈折率化
第8章 指紋を目立たせない防汚性、耐指紋性の評価技術
1. 防汚性の評価
1.1 防汚性
1.2 防汚性の評価方法
1.3 防汚性評価の基準化
2. 耐指紋性の評価
2.1 各種汚染物によるスポット試験
2.1.1 汗成分
2.1.2 皮脂成分
2.1.3 酸、アルカリ性成分
2.1.4 各種化粧品成分
2.1.5 藻類、細菌、カビ成分
2.2 耐久性、耐候性試験での評価
2.3 実使用条件との汚れ具合の相関性、まとめ
3. 付着防止のための機能性コーティング剤
3.1 機能性膜成分の評価
3.2 機能性塗膜の評価
3.3 要求される機能の評価
3.4 耐指紋性評価の考え方
3.5 汚れ防止機能の持続性の評価
4. ナノシリカ系コーティングによる表面改質
5. 使用時想定での加速・促進試験とその試験装置
5.1 屋外暴露による耐光性試験
5.2 凍結-過熱サイクル試験による耐久性試験
5.3 長寿命化に向けた取り組み方法
5.4 色差計、反射計を用いた測色方法による劣化状態の数値化、標準化
5.5 気候、環境での再現性とズレの発生要因
5.6 地域差事例(沖縄の塩害、フロリダの耐光、カナダの耐寒)の考え方
5.7 「あくまで目安」「顧客との同一目線での開発リスク」での保証体制
6. 実際の塗膜での防汚機能の劣化と保証に関するまとめ
6.1 長期性能維持のための保証
6.2 顧客への保証期間の設定方法とその劣化する事実への説明方法
6.3 通常の使用条件、使用環境によるモデル事例での紹介
6.4 実験室データと現場の長期耐候性との相関性
著者
桐原 修 | バイエル マテリアルサイエンス(株) |
佐内 康之 | 東亞合成(株) |
朝田 泰広 | 大成ファインケミカル(株) |
佐熊 範和 | アトミクス(株) |
矢澤 哲夫 | 兵庫県立大学 |
山田 保治 | 神奈川大学 【前 京都工芸繊維大学 特任教授】 |
兼松 孝之 | DIC(株) |
杉本 英樹 | 名古屋工業大学 |
中西 英二 | 名古屋工業大学 |
谷口 孝 | ティーエーケミカル(株) 顧問 【元 東レ 機能材料研所長】 |
村口 良 | 日揮触媒化成(株) |
丹羽 淳 | (株)KRI |
伊藤 隆彦 | (株)フロロテクノロジー |
石田 康之 | 東レ(株) |
岩谷 忠彦 | 東レ(株) |
高田 育 | 東レ(株) |
小長谷 重次 | 名古屋大学 |
清水 武洋 | 伊藤光学工業(株) |
渡部 秀敏 | 日立化成テクノサービス(株) |
唯岡 英介 | 日立化成テクノサービス(株) |
南保 幸男 | 南保技術研究所 【元 日華化学 部長】 |
書籍趣旨
最近のタッチパネル搭載機器の拡大にともない、業界専門誌のみならず、一般紙でもタッチパネルやその原材料関連の記事をよく目にする。タッチパネルの用途も従来のカーナビ、ATM、電車・列車の自動券売機に加え、最近のスマートフォン、タブレット、電子ブックへの適用が需要拡大の原動力と思われる。
タッチパネルは上述した方式を問わず,各種素材膜の複層で構成されているため,多様な素材・基材・接着剤や粘着剤の張り合わせプロセスを経て製造されている。その工程内や製品になった後の外観・機能保護を目的にした保護塗装が施されていることが多い。その中でも傷つき防止・耐摩耗性を目的としたいわゆる「ハードコート」が多く適用されている。
-----------(第1章 バイエル マテリアルサイエンス 桐原氏 執筆「はじめに」より抜粋) -----------
上記のような用途の他にも、フィルム、プラスチック、塗料、コーティング膜は自動車・精密機器・身の回りの生活品などより多くの製品に用いられ、「耐擦傷性」「防汚性」「耐指紋付着性」などのさらなる機能性がますます求められています。
そのような中、本書では総合的に「機能性透明ハードコート」とし、市場・技術動向から各種化学材料(モノマー・オリゴマー、UV硬化型、有機・無機ハイブリッド型、ゾルゲル法、UV硬化型有機・無機ハイブリッド、ポリシロキサン系、ウレタン系、アクリル系、フッ素系、撥水・撥油剤)から、試験・評価方法、また応用・トレンド技術も含めてまとめました。
また、当社ではこれらハードコート関連セミナーの参加者も多くご要望も多いため、本書を企画いたしました。みなさまの研究開発・技術力向上へと、お役に立てる1冊となることを願っております。 (書籍担当)
目次
第1章 機能性ハードコート材料における市場・技術動向
1. ハードコートへのアプローチ
2. ハードとソフト
3. ハードコート・プラスチック塗装の歴史
3.1 プラスチック用塗料・塗装の歴史
3.2 プラスチック用塗料の種類と分類
3.2.1 塗膜層
3.2.2 化学組成
3.2.3 硬化形式と硬化条件
3.3 塗装工程
3.3.1 前洗浄
3.3.2 塗装工程
3.3.3 塗膜性能
3.4 ハードコートの歴史
4. ハードコートの現状
4.1 ハードコート概略
4.2 シリコーン系ハードコート
4.3 UV硬化系ハードコート
4.4 ハイブリッド型ハードコート
4.5 ハードコートの設計、材料、配合
4.6 ハードコートの市場概要
4.7 ハードコートの用途と要求性能
5. 機能性ハードコート材料の技術動向
5.1 ウレタンアクリレート
5.2 デュアル・キュアーとその応用事例
5.3 ハイブリッド系の概略
5.3.1 有機バインダー/無機パーティクル
5.3.2 無機バインダー/無機パーティクル
5.3.3 有機バインダー/無機バインダー/パーティクル
6. 機能性ハードコートとその材料系
6.1 更なる耐擦り傷性改良
6.1.1 高硬度獲得
6.1.2 自己修復性
6.2 光学特性
6.3 耐汚染性・耐指紋性
6.4 高耐久性の必要要項・特性
6.4.1 屋外用途
6.4.2 屋内用途
6.5 ハードコートの成形性
6.5.1 ノンフォーマブル ハードコート
6.5.2 フォーマブル ハードコート
7. 機能性ハードコートの産業構造
8. 今後の方向性
第2章 UVハードコート用モノマー・オリゴマーの特徴と機能性付与
1. 一般的なハードコート材料の種類と特徴
2. 基材に反りや変形をもたらす要因
3. ハードコート用モノマー・オリゴマーへの機能性付与
3.1 高耐候性ハードコート用モノマー・オリゴマー
3.2 防汚性ハードコート用モノマー・オリゴマー
3.3 ハードコート用モノマー・オリゴマーの屈折率調整
3.3.1 高屈折率を有するハードコート用モノマー・オリゴマー
3.3.2 低屈折率を有するハードコート用モノマー・オリゴマー
3.4 帯電防止用ハードコート用モノマー・オリゴマー
第3章 UVハードコート膜の調製とその評価
1. UV硬化アクリルモノマー、オリゴマー
2. UV硬化アクリルポリマーの設計
2.1 アクリルモノマー
2.2 ラジカル重合の合成例
2.3 マクロモノマーの合成例
2.4 UV硬化アクリルポリマーの合成
2.5 UVラジカル硬化
2.6 UV硬化アクリルポリマーの設計の幅
3. IMD(In-mold Decoration)、IML(In-mold Label)にUVポリマーを利用した例
3.1 加飾技術
3.2 IMD
3.3 IML
3.4 塗膜物性
3.5 UVポリマーと硬化剤を併用した例
3.6 伸びを重視したUV硬化アクリルウレタンポリマーの設計
4. 光学フィルム用向けUVポリマーを使用した例
4.1 反射防止フィルム
4.2 塗膜物性
第4章 有機・無機ハイブリッドハードコート技術
第1節 無機-有機ハイブリッドハードコート材料の設計と機能性向上
1. 無機-有機ハイブリッド樹脂の基礎
1.1 コーティング材料
1.2 ハイブリッドハードコーティング材料
1.3 有機高分子と無機高分子
1.4 ポリシロキサン結合
1.5 ハイブリッドの考え方
1.6 ゾルゲル法とハイブリッド樹脂設計
2. ハイブリッド樹脂各論
2.1 無機-有機複合架橋型樹脂
2.1.1 無機-有機複合架橋型ハイブリッド樹脂
2.1.2 無機-有機ハイブリッド型水性架橋剤
2.1.3 無溶剤高膜厚型アクリル-シロキサンハイブリッド樹脂
2.2 ナノシリカ系ハイブリッド樹脂
2.2.1 水性ナノシリカ-シラン-ウレタン系ハイブリッド樹脂
2.2.2 ナノシリカ-シラン-アクリル系ハードコート樹脂
2.2.3 ナノシリカ含有無機-有機ハイブリッド型UV硬化樹脂
3. 無機-有機ハイブリッド型ハードコート材
3.1 ハイブリッド型ハードコート材の樹脂設計
3.2 “硬さ”の測定方法
3.3 “見える傷”と“見えない傷”
3.4 もっと硬く、さらに硬く
3.5 ガラスライクな表面へ
4. ハードコートの高機能化
4.1 ナノ粒子を使いこなす
4.2 ハードコートに機能性を付与する
4.3 機能性ハードコート
4.3.1 ウルトラハードコート材
4.3.2 防汚型ハードコート材(汚染除去性)
4.3.3 高耐候性ハードコート材(UV吸収性)
4.3.4 熱線吸収性ハードコート材(IR吸収性)
4.3.5 インモールド成型用ハードコート材
4.3.6 その他ハードコートの機能化
第2節 ゾルゲル法による機能性ハードコート剤の設計とその評価及び最新動向
1. ハードコート剤の設計
1.1 ゾルゲル法
1.2 有機無機ナノハイブリッド化
2. ハードコーティング
2.1 プラスチックス基材
2.2 コーティングの方法
3. ハードコートの物性
3.1 基本的な特性
3.1.1 硬度、耐擦傷性
3.1.2 密着性
3.1.3 柔軟性
3.1.4 耐熱性
3.2 その他の機能
3.2.1 化学的耐久性
3.2.2 光学機能
3.2.2.1 透明性
3.2.2.2 低屈折率、高屈折率、低反射
3.2.3 撥水、親水性
4. 評価法
4.1 硬度、耐摩耗性
4.2 柔軟性
4.3 密着性の評価
4.4 耐熱性
4.5 化学的耐久性
4.6 透明性
4.7 耐候性
4.8 膜厚
5. 最新動向
5.1 一液コート
5.2 帯電防止
5.3 ガスバリア
第5章 UV硬化型有機・無機ハイブリッドハードコート技術
第1節 UV硬化型有機-無機ハイブリッドハードコート剤 ~シリカ/アクリル~
1. 有機-無機ハイブリッド材料
1.1 有機-無機ハイブリッド材料の概要
1.2 有機-無機複合材料の分子設計
1.3 有機-無機複合材料の合成法
2. UV硬化型アクリル系ハイブリッドハードコート剤
2.1 ハードコート剤の概要
2.2 UV硬化型アクリル系ハイブリッドハードコート剤の設計
2.3 UV硬化型アクリル系ハイブリッドハードコート剤の調製
2.4 UV硬化型アクリル系ハイブリッドハードコート膜の物性
3. ハイブリッドハードコート剤およびハイブリッドハードコート付き樹脂シート
第2節 UV硬化型無機・有機ハイブリッドハードコート材料 ~ポリシロキサン―アクリル~
1. UV硬化型ポリシロキサン-アクリルハイブリッド樹脂
1.1 MFG(Multi-Function-Glass Resin)の構造
1.2 MFGの特徴
1.2.1 耐候性
1.2.2 セルフクリーニング性
1.2.3 塗工適性
1.2.4 成形用材料としての適用可能性
2. MFGの応用可能性
2.1 高耐候ハードコート塗料
2.2 黄変防止可能な高耐候コート材
第6章 その他ハードコート技術におけるトレンド技術
第1節 ウレタンアクリレート系ハードコート材料の柔軟性向上
1. ウレタンアクリレートの調製と製膜
2. 各種評価
3. TEAを用いたウレタンアクリレートの塗膜物性評価
4. Gを用いたウレタンアクリレートの塗膜物性評価
第2節 ポリシロキサン系材料によるハードコート技術
1. ハードコート技術の基礎
2. ポリシロキサン系ハードコート技術
3. ポリシロキサン系ハードコート技術の反応収縮
4. 均一系分子内有機・無機ハイブリッド技術
5. 不均一系有機・無機ハイブリッド技術
6. 不均一系有機・無機ハイブリッド技術の進化
第3節 ナノ粒子配合によるハードコート膜形成 ~シリカ系ナノコンポジット~
1. ハードコート膜の設計
1.1 ナノ粒子配合型ハードコート設計
1.2 バインダー設計
1.3 ナノ粒子設計
2. ハードコート膜への機能性付与
2.1 ナノ粒子配合による硬度付与
2.2 帯電防止
2.3 反射防止
2.4 カーリング抑制型ハードコート
2.5 アンチブロッキング型ハードコート
3. 今後の展開
第4節 フッ素系撥水撥油剤による耐指紋性・防汚技術
1. 有機フッ素化合物の特徴
1.1 有機フッ素化合物の特徴
1.2 臨界表面張力
2. 従来の撥水撥油剤
2.1 従来の撥水撥油剤
2.2 従来の撥水撥油剤の生体蓄積性と規制
3. 代替化合物とその問題点
4. 新規撥水撥油剤
4.1 コンセプト
4.1.1 C4化合物の選択
4.1.2 C4化合物の整列
4.1.3 相互作用性官能基
4.2 新規撥水撥油剤
4.2.1 分子設計
4.2.2 ガラスの撥水撥油性
4.2.3 綿布の撥水性
4.3 新規撥水撥油剤のコーティング
4.3.1 ガラスへのコーティング
4.3.2 有機基材へのコーティング
4.4 新規撥水撥油剤の合成
4.5 新規撥水撥油剤の耐久性
4.6 コーティング厚み
4.7 C6化合物への応用
4.7.1 C6化合物の合成
4.7.2 C6化合物の撥水撥油性
4.7.3 C6化合物のコーティング
4.7.4 C6化合物のコーティング厚み
5. 新規撥水撥油剤の用途
第5節 フッ素系コーティングによる防汚技術と耐久性評価
1. フッ素系コーティング剤の防汚メカニズム
1.1 表面張力の基礎
1.2 防汚性のメカニズム
2. フッ素系コーティング剤の種類と特徴・用途
2.1 フッ素系コーティング剤の種類と特徴
2.1.1 従来型撥水撥油剤
2.1.2 保護・防湿コーティング剤
2.1.3 反応型防汚コーティング剤(シランカップリング型)
2.1.4 UV硬化型防汚コーティング剤
2.1.5 アモルファス型フッ素コーティング剤
3. フッ素コーティング剤の摩耗性評価
3.1 防汚性の評価
3.1.1 拡張収縮法
3.1.2 滑落法
3.1.3 ウイルヘルミィ法(吊り板法)
4. 耐摩耗性の評価
4.1 ディスプレイメーカーでの評価方法例
4.2 弊社の提案
4.3 簡易評価(油性インキ・テスト)
5. 実際の評価例と基準
5.1 滑落法接触角と摩擦試験を組み合わせた評価例
5.1.1 試料作成条件
5.1.2 試験条件
5.1.3 摩擦条件
5.2 簡易防汚試験と滑落法接触角を組み合わせた評価例
5.3 判定基準
5.3.1 接触角についての判断基準
5.3.2 簡易試験についての判断基準
6. フッ素系防汚コーティング剤(反応型)使用上のノウハウ
6.1 塗布方法
6.2 乾燥方法
第6節 ナノ凹凸構造を有する指紋付着防止フィルム
1. 耐指紋性の定量評価技術
(・模擬指紋汚れの定量付着 ・指紋汚れの定量測定)
2. ナノ構造を有する指紋付着防止フィルム
(・高撥油性の付与 -指紋汚れの“付きにくさ”- ・ナノ凹凸構造の形成 -指紋汚れの“見えにくさ”-)
第7節 フィルムの滑り性とフィラーによる耐スクラッチ性の向上
1. アンチブロッキング法
1.1 フィラーを用いる方法
1.2 ポリマー特性を利用した方法
2. フィラー特性がフィルムの滑り性に与える効果
2.1 フィラー種・形状
2.2 フィラー径・量
3. フィラー特性がフィルムの透明性に与える効果
3.1 フィラー径
3.2 フィラー及びフィルム基材の屈折率
3.3 ボイド
4. フィルムの耐スクラッチ性向上
第7章 ハードコートの応用技術
第1節 眼鏡用プラスチックレンズへのハードコート技術
~無機・有機ナノ複合体による耐衝撃性ハードコートの開発~
1. 無機・有機ナノ複合体の作成
2. 眼鏡用プラスチックレンズ用無機・有機ハイブリッドハードコート剤
3. ハードコートの塗布方法
4. 評価方法(例)
5. さらなる高機能化
(・高屈折率ハードコート材料)
第2節 ガラスコートによる表面機能化技術 ~ガラスの低温成膜~
1 ガラスコート材料
1.1 パーヒドロキシポリシラザン(PHPS)
1.2 ポリシラザンのシリカ転化
2. ハードコート性
3. その他の表面機能化
3.1 ガスバリア性
3.1.1 処理条件と水蒸気ガスバリア性
3.1.2 低温処理技術
3.2 反射防止性能
3.2.1 Anti-Reflectionコートへの応用
3.2.2 ガラスコートの低屈折率化
第8章 指紋を目立たせない防汚性、耐指紋性の評価技術
1. 防汚性の評価
1.1 防汚性
1.2 防汚性の評価方法
1.3 防汚性評価の基準化
2. 耐指紋性の評価
2.1 各種汚染物によるスポット試験
2.1.1 汗成分
2.1.2 皮脂成分
2.1.3 酸、アルカリ性成分
2.1.4 各種化粧品成分
2.1.5 藻類、細菌、カビ成分
2.2 耐久性、耐候性試験での評価
2.3 実使用条件との汚れ具合の相関性、まとめ
3. 付着防止のための機能性コーティング剤
3.1 機能性膜成分の評価
3.2 機能性塗膜の評価
3.3 要求される機能の評価
3.4 耐指紋性評価の考え方
3.5 汚れ防止機能の持続性の評価
4. ナノシリカ系コーティングによる表面改質
5. 使用時想定での加速・促進試験とその試験装置
5.1 屋外暴露による耐光性試験
5.2 凍結-過熱サイクル試験による耐久性試験
5.3 長寿命化に向けた取り組み方法
5.4 色差計、反射計を用いた測色方法による劣化状態の数値化、標準化
5.5 気候、環境での再現性とズレの発生要因
5.6 地域差事例(沖縄の塩害、フロリダの耐光、カナダの耐寒)の考え方
5.7 「あくまで目安」「顧客との同一目線での開発リスク」での保証体制
6. 実際の塗膜での防汚機能の劣化と保証に関するまとめ
6.1 長期性能維持のための保証
6.2 顧客への保証期間の設定方法とその劣化する事実への説明方法
6.3 通常の使用条件、使用環境によるモデル事例での紹介
6.4 実験室データと現場の長期耐候性との相関性
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