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~生分解性からスマートプラスチックへ~
ポリ乳酸製品が内包する産業的真価とは

「虫喰い」に「カビ」生分解性素材に固有の弱点が指摘される中、
ポリ乳酸が有する耐食害性と抗菌・防カビ性とは?
使い捨て製品から長期使用の耐久性製品まで、
広範囲な応用展開が可能なポリ乳酸の分解制御機構とは?

抗菌・防カビ性の発現機構、耐食害性の試験や他素材との比較、分解速度と製品寿命のバランスなどなど
持続可能な社会の構築に寄与するポリ乳酸の生分解性に注目が高まる中、
「製品として実用化」することにおいて、避けては通れないテーマもしっかり追及!
産学の両分野で、ポリ乳酸を中心とする生分解性プラの研究から
技術・事業開発までを成し遂げた講師が解説します。
日時 2021年1月28日(木)  10:00~17:00
会場 Live配信セミナー(リアルタイム配信) ※会社・自宅にいながら学習可能です※  
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得られる知識◇  21世紀の地球環境保全と持続的な資源循環型社会に向けての国内外動向
◇  生分解性プラスチックの分類、基本特性、高性能化技術と用途・製品開発動向
◇  ポリ乳酸が内包する抗菌・防カビ性の発現機序とその応用展開
◇  ポリ乳酸が内包する特異的な分解制御機構とその応用展開

セミナー講師

望月 政嗣 氏(元京都工芸繊維大学特任教授、工学博士(京都大学)、高分子学会フェロー)
【専門】高分子材料科学、特にバイオプラスチックや生分解性プラスチック、高分子の高性能・高機能化材料設計と成形加工技術、繊維・不織布の構造と物性
1968年 京都大学工学部高分子化学科卒。京都大学工学部助手を経て
1969年 ユニチカ㈱入社、中央研究所から大阪本社技術開発企画室を経て
2003年 理事、テラマック事業開発部長。この間山形大学と京都工芸繊維大学客員教授、京都工芸繊維大学バイオベースマテリアル研究センター特任教授兼務
2007年 ユニチカ㈱定年退職後、京都工芸繊維大学繊維科学センター特任教授(常勤)として5年間勤務。この間日経BP技術賞その他受賞、日本バイオプラスチック協会(JBPA)識別表示委員会委員長、(社)繊繊学会理事関西支部長等を歴任。著書に「生分解性プラスチック入門―生分解性プラスチックの基礎から最新技術・製品動向まで―」「生分解性プラスチックの素材・技術開発」、「バイオプラスチックの素材・技術最前線」、その他多

セミナー趣旨

 天然繊維の羊毛は虫が喰い、デンプン系生分解性プラにはカビが生えネズミやゴキブリがかじり、微生物産生ポリエステルには細菌やカビが一面に生える。これら生分解性素材に固有の被食害性は、その実用化を進める上での致命的欠点となる。一方、ポリ乳酸は生分解性であるにもかかわらず、逆に卓越した抗菌・防カビ性を発現するのは何故か?
 また、ポリ乳酸は生分解性であるにもかかわらず、短期使用の使い捨て製品から長期使用の耐久性製品までの広範な応用展開が可能で、使用後の再資源化(バイオリサイクッル)過程では生ごみと同等速度で速やかに堆肥化またはバイオガス化される、分解開始の自動スイッチオン機能を含む分解制御機構を内蔵している。
 本講では、従来の科学技術上の常識や既成概念を根底から覆すかのような、ポリ乳酸に秘められた単なる生分解性プラスチックではないスマートプラスチックとしての応用展開の可能性を、その化学構造や生分解機構との関係から科学的に検証する。

セミナー講演内容

1.持続可能な開発目標(SDGs)としてのポリ乳酸
  …ポリ乳酸には資源枯渇も、地球温暖化も、廃棄物問題も存在しない!

 1.1 地球環境・資源・愛器物問題と生分解性プラスチック
    1)20世紀の石油を原料とする合成高分子化学工業が内包するパラドックス
    2) 海洋プラスチック汚染問題の正しい理解と解決策
    3) 自然界の真のリサイクルシステムとしての物質循環(炭素循環)へのリンク
    4) 植物由来生分解性プラスチックへの転換
 1.2 ポリ乳酸の基本特性
    1) 原料は枯渇しない植物由来の再生可能資源(renewable resource)
    2) バイオマス由来で地球温暖化に関与しない(carbon-neutral)
    3) 自然環境(土壌、海水・淡水)下での完全生分解性(biodegradable)
    4) 使用後の再資源化(バイオリサイクル)過程での
     ① 好気性発酵による堆肥化可能(compostable)
     ② 嫌気性メタン発酵による生ごみ発電(garbage power generation)可能

2.ポリ乳酸の抗菌・防カビ性発現機構
  …ポリ乳酸は生分解性であるにもかかわらず、なぜ抗菌・防カビ性を発現するのか?

 2.1 天然有機酸としての乳酸の基本的性質
    1) 生体内で解糖系エネルギーの産生に関与
    2) 光学異性体…L-乳酸とD-乳酸
    3) 生体内常在菌としての乳酸菌の役割
    4) 食品添加物としての乳酸の役割
    5) 乳酸の安全性(WHO)
 2.2 ポリ乳酸の基本特性と生分解機構
    1) 結晶性脂肪族ポリエステル樹脂…融点、結晶化速度のD乳酸共重合比依存性
    2) 基本特性…高強度・弾性率、透明性、耐水・耐油性、安全衛生性、生分解性
    3) 高性能・高機能化技術の進展…耐熱性、耐衝撃性等、既存汎用プラと同等
    4) 生分解機構…非酵素分解型(加水分解型)
    5) 分解制御機構…2段階2様式の特異的な生分解機構
    6) 食品衛生性…厚生省告示370号、米国FCN No.178,Class B(100℃×30分)~H
 2.3 ポリ乳酸の耐食害性と抗菌・防カビ性…他素材との比較試験
    1) ネズミ食害試験
    2) プラスチックのカビ抵抗性試験…JIS Z-2911
    3) 生鮮イチゴ収納容器のカビ抵抗性試験
    4) 繊維の抗菌・防カビ性試験…繊維製品新機能評価協議会・抗菌防臭加工新基準
    5) 消費者から届けられた声
     ① ボディタオル…長期間使用しても従来品のように嫌な臭いや着色がなく清潔
     ② 台所洗い場の水切りネット…長期間使用してもヌメリ(バイオフィルム)形成による目詰まりがない
 2.4 ポリ乳酸の抗菌・防カビ性発現機構
 2.5 適応分野…食品容器・包装、生活・衛生・雑貨、インテリア資材、その他

3.ポリ乳酸が内包する分解制御機構
  …従来の石油系プラと同等の長い製品寿命を有しながら、
         使用後のバイオリサイクル過程では生ごみと同等速度で速やかに再資源化されるメカニズムとは?

 3.1 ポリ乳酸の各種環境下における分解挙動
    1) 生体内分解吸収性医用材料:37℃
    2) 大気中…室温下:20℃,65%RH~高温・高湿下:60℃,95%RH
    3) 土壌中:0~40℃
    4) 海水中:1~30℃
    5) 堆肥化施設(好気性発酵):58±2℃
    6) 生ごみ発電施設(嫌気性メタン発酵)高温発酵:52℃
 3.2 ポリ乳酸の分解制御機構…分解速度と製品寿命のバランス
    1) 生分解機構…非酵素分解型(化学的加水分解型)
          ① 2段階2様式の特異的な生分解機構
        ② 分解の律速段階…初期の加水分解反応
    2) 分解開始機構
       ① ガラス転移温度58℃≒生ごみ堆肥化施設温度
      ② 自動スイッチオン機構…生ごみ堆肥化施設への投入
    3) 分解速度制御技術…10年前後の長期耐久性(耐加水分解性)付与技術
       ① 生分解性維持
       ② マテリアルリサイクル可能
 3.3 製品寿命(奉仕期間)の最適化…ポリ乳酸は短期使用から長期使用までの広範な製品展開が可能な理由
 3.4 適応分野…使い捨て製品からリターナブル食器、
                       電気・電子機器部品、産業資材、自動車内装材、その他

4.ポリ乳酸の高性能・高機能化と成形加工技術
  …ポリ乳酸はすでに既存の石油系汎用プラスチックと同等以上のレベル!

 4.1 第二世代ポリ乳酸としての高L組成ポリ乳酸(high %L PLA), %D<0.5
 4.2 ポリ乳酸への耐熱性付与技術
    1) 電気・電子機器筐体、部品…150 ℃/低荷重下(0.45MPa)
    2) 食品容器…120~130℃ x 5分/電子レンジ加熱
    3) ティバッグ、飲用カップ…5~100℃/熱湯注入
 4.3 ポリ乳酸への耐衝撃性付与技術
    1) 電気・電子機器筐体、部品…9.6 kJ/cm2(シャルピー衝撃強度)
    2) シート成形品…落球法(100gの重りを50㎝の高さから)/DuPont法
 4.4 ポリ乳酸への耐熱性と耐衝撃性の同時付与技術…マルチ機能改質剤
 4.5 ポリ乳酸の成形加工性(押出成形、射出成形、真空成形、発泡成形、ブロー成形)

5.スマートファイバーとしてのポリ乳酸繊維・不織布
  …ポリ乳酸成形品の代表例として、PET繊維にはない数々の高機能性とは?

 5.1 一般的な糸質特性…PET繊維との比較
 5.2 一切の添加剤なしで発現される数々の高機能性
    1) 生分解性(Biodegradable, Compostable)
    2) 抗菌・防カビ性(Anti-bacterial/fungal)
    3) 優れた吸・放湿性、速乾性(Moisture management)
    4) 防炎・自己消火性(Low flammability)
    5) 耐光・耐候性(Weathering stability)
    6) 圧電性(Piezoelectricity)
 5.3 応用展開

 □質疑応答□