セミナー

プラスチックの衝撃破壊メカニズムと耐衝撃性向上

高分子材料をどのようにすれば衝撃的な負荷での脆性破壊を抑制できるのか?
本セミナーでは、プラスチック成型品の体積変形と破壊機構の解説を通じて、そのヒントを示す
日時 2019年6月26日(水)  10:30~16:30
会場 東京・品川区大井町 きゅりあん  5階 第4講習室
会場地図
受講料(税込)
各種割引特典
48,600円 ( S&T会員受講料 46,170円 ) S&T会員登録について
定価:本体45,000円+税3,600円
会員:本体42,750円+税3,420円
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2名で48,600円 (2名ともS&T会員登録必須/1名あたり定価半額24,300円) 
備考資料・昼食付
※講義中の録音・撮影はご遠慮ください。
※講義中のパソコン使用はキーボードの打音などでご遠慮いただく場合がございます。
得られる知識・高分子材料の破壊の機構
・破壊を抑制し、信頼出来る強度設計の概念
・ひずみの拘束の解放の概念による高分子材料のタフネス改善の為の種々の具体的手段
・高い剛性とタフネスが両立した高分子複合材料の強度設計
対象基礎的な材料力学、及び高分子材料の基礎的な力学の知識を持っている方が望ましい

セミナー講師

山形大学 名誉教授 石川 優 氏

セミナー趣旨

 プラスチックあるいはその複合材料に高い耐衝撃強度を付与することはそれらの製品の信頼性を確保するためには基本的である。力を支えることが求められる構造体の破壊は製品の形状あるいは製品に内在する欠陥に起因する応力集中により、その材料の持つ凝集強度と比べると極めて小さな負荷応力で開始する。そのような製品の強度あるいは耐衝撃強度を向上させるためには、用いる材料の凝集強度を大きくするか、あるいは製品の形状、構造を調整して応力集中を緩和させる必要がある。
 本セミナーではプラスチックの変形と破壊の機構を固体の基本的な変形様式であるせん断変形と体積変形について解説し、破壊を導く応力集中の大きさには体積変形の寄与が大きいことを説明する。分子量、分子構造、共重合等によりプラスチックの凝集構造をどのように調整すれば凝集強度を改善しタフなプラスチックにすることが出来のか、あるいはブレンド等によりどのような複合構造を持つプラスチック成型品を設計することが出来れば応力集中を小さくし、延性変形が支配的な信頼性に優れたタフな製品が設計出来るかを紹介する。

セミナー講演内容

0.はじめに

1.材料強度の基礎 
 1.1 固体の理論強度とグリフィスき裂 
 1.2 固体の変形と応力集中 
  1.2.1 せん断変形が支配的な変形
  1.2.2 体積変形が支配的な変形
  1.2.3 ひずみの拘束による応力集中の機構
 1.3 応力集中の緩和とタフニング

2.高分子材料の変形と破壊
 2.1 せん断変形支配の高分子材料の変形と破壊
  2.1.1  高分子固体の塑性変形
   2.1.1.1 結晶性高分子材料の塑性変形
   2.1.1.2 非晶性ガラス状高分子材料の塑性変形
  2.1.2 高分子材料のソフトニングとネッキング
  2.1.3 配向硬化
  2.1.4 せん断変形支配の下での破壊
   2.1.4.1 熱可塑性高分子の破壊
   2.1.4.2 熱硬化性高分子の破壊
  2.1.5 変形速度が一軸伸張の塑性変形に及ぼす影響
  2.1.6 クリープ負荷での塑性変形
 2.2.体積変型支配の高分子材料の変形と破壊
  2.2.1 ボイドの形成とその不安定拡張
   2.2.1.1 ボイドの塑性変形による不安定拡張
   2.2.1.2 ボイドの非線形弾性変形による不安定拡張
  2.2.2 ひずみの拘束とボイドの不安定拡張
  2.2.3 切り欠きのひずみの拘束によるボイドの不安定拡張
  2.2.4 ひずみの拘束による高分子材料のぜい性的な破壊
   2.2.4.1 非晶性ガラス状高分子のぜい性的な破壊
   2.2.4.2 結晶性高分子のぜい性的な破壊
  2.2.5 変形速度が破壊挙動に及ぼす影響
  2.2.6 切り欠きを持つ結晶性高分子のクリープによるぜい性破壊
  2.2.7 アルミニュウム合金の破壊との比較
  2.2.8 高分子材料の破壊条件と破壊力学

3.非線形弾塑性解析による高分子構造体の強度予測
 3.1 高分構造体の強度の境界条件依存性とタフニング
 3.2 非晶性ガラス状高分子(ポリカーボネィト(PC))の強度予測
  3.2.1 PCの真応力-ひずみ曲線の推定
  3.2.2 PC構造体の破壊条件の推定
  3.2.3 種々の境界条件でのPC構造体のタフネスの予測
   3.2.3.1 切り欠き先端半径の効果
   3.2.3.2 リガメントの厚さの効果
   3.2.3.3 試験片の幅の効果
 3.3 結晶性高分子(ポリオキシメチレン(POM))の強度
  3.3.1 POMの真応力-ひずみ曲線とボイドの形成と拡張状態の推定
  3.3.2 POMの破壊条件の推定
  3.3.3 種々の境界条件でのPOM構造体のタフネスの予測
   3.3.3.1 切り欠きの先端半径の効果
   3.3.3.2 リガメントの厚さの効果
   3.3.3.3 試験片の幅の効果
 3.4 プラスチックのタフネスの評価方法と境界条件

4.微細構造の調整によるタフニング
 4.1 数平均分子量がクレイズ強度と降伏応力に及ぼす影響
 4.2 分子量分布の幅がクレイズ強度と粘度に及ぼす影響
 4.3  i-PPの立体規則性がクレイズ強度に及ぼす影響
 4.4 共重合がクレイズ強度と降伏応力に及ぼす影響

5.ひずみの拘束の解放によるタフニング
 5.1 ボイドによる体積弾性率の緩和とひずみの拘束の解放
  5.1.1 ボイドの分散状態が塑性不安定に及ぼす影響
  5.1.2 Gursonモデルを用いた非線形解析(関連流動則)によるポリマーアロイのタフネスの予測
  5.1.3 修正Gurson(非関連流動則)モデルよるポリマーアロイのタフネスの予測
 5.2 エラストマーのブレンドによるタフニングの効率に影響する因子
  5.2.1 分散相の強度がタフネスに及ぼす影響
  5.2.2 複合構造のエラストマーをブレンドした樹脂のタフネス
  5.2.3 マトリックス樹脂の配向硬化とタフネス
   5.2.3.1 部分架橋による配向硬化の調整
   5.2.3.2 結晶化条件による配向硬化の調整
  5.2.4 熱可塑性エラストマーと樹脂の相溶性がタフネスに及ぼす影響
  5.2.5 流動による分散相のエラストマーの配向がタフネスに及ぼす影響
  5.2.6 表面劣化によるぜい性化のエラストマーブレンドによる抑制
 5.3 他の体積弾性率の緩和につての試み

6.高い剛性とタフネスが両立した高分子複合材料の強度設計
 6.1 微粒子の充填によるタフニング
  6.1.1 無機微粒子のブレンドによるi-PPのタフニング
  6.1.2 カーボン粒子のブレンドによるゴムのタフニング
 6.2 繊維の充填によるタフニング
  6.2.1 繊維と樹脂が強い界面強度を持つ場合
  6.2.2 繊維と樹脂の界面が適切な強度ではく離
   6.2.2.1 はく離強度がタフネスに及ぼす効果
   6.2.2.2 繊維長のアスペクト比がタフネスに及ぼす効果
   6.2.2.3 繊維長への締め付け力がタフネスに及ぼす効果
  6.2.3 界面強度の調整によるタフネスの改善の例
   6.2.3.1 酸変性低分子量PE改質材によるガラス繊維充填PCのタフニング
   6.2.3.2 アラミド繊維によるPLAの弾性とタフネスの改善

7.終わり

□ 質疑応答 □