≪第1講≫
第1部 高薬理活性物質を扱うプロジェクトの進め方とリスクアセスメント
第2部 高薬理活性物質を取扱う現場に関連する最新規制・ガイドラインの動向と封じ込め設備への反映
・抗がん剤などの薬理活性の高い医薬品を扱う現場では,GMP要件としての交叉汚染防止と労働安全衛生上の曝露防止の二つを同時に満足させる必要がある。交叉汚染防止と曝露防止は,高薬理活性物質を扱う設備での不可避の要件である。
・そのような高薬理活性物質を扱うプロジェクトを進める場合,ハザード物質のリスクアセスメントから始まり,基本設計・詳細設計などの各段階でリスクアセスメントRAを行って,意志決定していく必要がある。
・第1部では,封じ込めプロジェクトの流れに即した形でのリスクアセスメントおよび留意点を紹介する。
・第2部では,EU-GMP,PIC/S-GMP などの最新規制および関連するガイドラインの動向を紹介する。封じ込め設備での運用上の留意点について紹介する。
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第1部 高薬理活性物質を扱うプロジェクトの進め方とリスクアセスメント
1. 封じ込めの基本
1.1 封じ込めの目的
1.2 封じ込めの定義
1.3 曝露の経路
1.4 高薬理活性物質・高ハザード物質の定義
1.5 健康に対する有害性の区分け
2. プロジェクトの大きな流れ
3. 準備段階
3.1 ハザード区分表
3.2 封じ込め機器選定表
4. 基本計画・基本設計段階
4.1 委託受託間の中でのハザードコミュニケーション
4.2 個々の物質のハザードアセスメント
4.3 作業分析とリスク発生ポイントの見極め
4.4 封じ込め設備で用いられるリスクアセスメントツール OEL,CPT,ASL
4.5 一次封じ込めの最適化方針決定
4.6 二次封じ込めの方針設定
4.7 廃棄物の処理
4.8 外部環境への影響
5. 詳細設計段階
5.1 モックアップ試験
5.2 薬塵測定におけるRA
6. 運用開始前
6.1 運用時におけるRA
7. 運用開始後
7.1 環境モニタリング
7.2 健康サーベイランス
8. リスクアセスメントにおいて留意するべき事項
第2部 高薬理活性物質を取扱う現場に関連する最新規制・ガイドラインの動向と封じ込め設備への反映
1. 最新規制動向の背景
1.1 洗浄評価基準の多様性
1.2 専用化要件における曖昧性
1.3 労働安全衛生分野での取り組み
1.4 合理性を求める動き
1.5 規制ガイドラインの改訂の流れ
2. EU-GMPおよびPIC/S-GMPの概要
2.1 全般
2.2 専用化要件 Chapter 3
2.3 交叉汚染防止 Chapter 5
2.3.1 交叉汚染の要因
2.3.2 技術的な措置
2.3.3 運用管理的な措置
2.4 Vol.4 Annex 15 Validation
3. PIC/S関連
3.1 概要
3.2 査察官用ガイドライン「共用設備における交叉汚染防止備忘録」
3.2.1 交叉汚染/ハザードアセスメント/リスクマネジメントに関する備忘録から
3.2.2 技術的な措置~機器および設備の設計に関する備忘録から
3.2.3 運営的な措置~機器洗浄/洗浄バリデーション/人員に関する備忘録から
3.3 査察官用ガイドライン「健康ベース曝露限界値の評価/利用に関する備忘録」
4. ICH Q7(原薬GMP)Q&Aの概要
4.1 専用化要件
4.2 交叉汚染防止措置
4.3 洗浄評価基準
5. PDE設定ガイドライン(EMA/PIC/S)の概要
5.1 背景
5.2 概要
5.3 健康ベース曝露限界値設定ガイドラインのQ&A
6. Risk-MaPPガイドライン改訂版
6.1 概要
6.2 健康ベース曝露限界値の設定に関連する項目
6.3 洗浄に関連する項目
6.4 封じ込めに関連する項目
7. ASTM 健康ベース曝露限界値設定ガイドライン
8. 従来の専用化要件にて使われていた用語の明確化
8.1 細胞毒性
8.2 ホルモンおよびステロイド
8.3 高活性
9. 封じ込め設備との関連
9.1 技術的な面
9.1.1 シングルユースのディスポーザブル技術について
9.1.2 エアーロックおよび差圧により空気浮遊汚染物質を閉じ込める方法について
9.2 運用管理面
10. ラボに関するガイドライン
10.1 アメリカでの例
10.2 イギリスでの例
□演習問題・添削□
≪第2講≫
第1部 健康ベース曝露限界値PDE(ADE)の算出と各種リスクアセスメントツール
第2部 リスクベースアプローチによる一次封じ込め設計と運用
・高薬理活性物質を扱う設備の品質リスクマネジメントの基盤は,健康ベース曝露限界値PDE(ADE)である。この曝露限界値を算出する手順および適用する場合の留意点を紹介する。さらに,封じ込めプロジェクトで用いられる,健康ベース曝露限界値を基にした各種リスクアセスメントツール(OEL/ASLを含む)を紹介する。
・高薬理活性物質を扱う設備の一次封じ込めは,リスクベースアプローチによるのが世界的な標準である。その流れを説明する。
・第1部では,曝露限界値PDE(ADE)を理解する上での基礎知識,算出する手順および適用する場合の留意点,関連する各種リスクアセスメントツールを説明する。
・第2部では,取り扱う化合物のハザードレベルと曝露リスクに応じた一次封じ込め設計のポイントを紹介する。また,各種の封じ込め機器があるなかから,どのようにして最適なシステムを構築するかについて,事例紹介する。運用・保守についても触れる。
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第1部 健康ベース曝露限界値PDE(ADE)の算出と各種リスクアセスメントツール
1. 健康ベース曝露限界値~概要
2. 健康ベース曝露限界値を理解するための毒性学基礎知識
2.1 健康ベース曝露限界値を設定する過程
2.2 エンドポイントとクリティカルエフェクト
2.3 用量-反応曲線と毒性の閾値
2.4 閾値のない化合物の場合
2.5 NOAEL/LOAELの設定
2.6 ポイント オブ デパーチャー(PoD)
3. 健康ベース曝露限界値の算出
3.1 定義と用語
3.2 算出の前提
3.3 算出式
3.3.1 EMAガイドライン
3.3.2 Risk-MaPPガイドライン
3.3.3 ASTM E3219ガイドライン
3.4 閾値がない化合物の曝露限界値
4. 健康ベース曝露限界値を算出する場合のポイント
4.1 概要
4.2 PoDの設定
4.3 体重の設定
4.4 不確実係数
4.5 摂取経路(曝露経路)とバイオアベイラビリティ
5. 毒性データが得られない場合の対処
5.1 TTCの概念による方法
5.2 コントロールバンディング(Control Banding)の下限値から求める方法
6. 前提から大きく異なる場合の対処~プロダクト特定HBELの設定
7. 算出の実務
7.1 有効数字~数値の丸め
7.2 文書化
7.3 新しい情報に基づく見直し
7.4 その他の留意点
8. 健康ベース曝露限界値のバラつき
9. 健康ベース曝露限界値に関する課題
10. 健康ベース曝露限界値から導出されるリスクアセスメントツール(封じ込め関連)
10.1 吸引曝露限界値(OEL)
10.1.1 定義と用語
10.1.2 算定
10.1.3 呼吸量
10.1.4 医薬品製造分野におけるOEL設定の経過
10.2 許容表面残留限界(ASL)
第2部 リスクベースアプローチによる一次封じ込め設計と運用
1. リスクベースアプローチによる封じ込め機器の選定(ラボを含む)
1.1 概要
1.2 生産設備での封じ込め機器選定
1.3 ラボ設備での封じ込め機器選定
1.4 通常の封じ込め/厳格な封じ込め
1.5 封じ込め機器の歴史
2. 封じ込め機器の選択肢と導入時のポイント
2.1 生産現場における封じ込め機器導入時のポイント
2.1.1 アイソレータ導入時の留意事項
2.1.2 ラミナーフローブース導入時の留意事項
2.1.3 封じ込めバルブ導入時の留意事項
2.1.4 フレキシブルコンテインメント導入時のポイント
2.1.5 ハードタイプ・ソフトタイプの比較
2.2 ラボにおける封じ込め機器導入時のポイント
2.3 ドキュメントの封じ込め
3. 最適化検討の具体例と道筋
3.1 事例の概略説明
3.2 コンサルタントからの指摘
3.3 コンサルタントからの提案
3.4 結論
3.5 最適化の道筋
4. 既存設備の改造による封じ込め
4.1 検討時のポイント
4.2 改造による封じ込めの実例
5. 製造機器の封じ込め
5.1 原薬工場における封じ込めされた製造機器
5.2 固形製剤工場における封じ込めされた製造機器
6. 封じ込め設備運用のポイント
6.1 アイソレータの運用時の留意点
6.2 ラミナーフローブースの運用時の留意点
6.3 封じ込めバルブ運用時の留意点
6.4 フレキシブルコンテインメント運用時の留意点
6.5 ラボにおけるフュームフード運用時の留意
6.6 運用(作業手順)の「見える化」
□演習問題・添削□
≪第3講≫
第1部 二次封じ込め設計 ~生産設備からラボまで~
第2部 封じ込め設備の運用管理・保守
・二次封じ込めについては適切なガイドラインもなく,企業の考え方によって大きく内容が異なっている。論じられることの少ない二次封じ込めの設計について,GMPと労働安全衛生の観点から詳しく紹介する。
・封じ込め設備の運用管理においては,洗浄もさることながら,環境モニタリングについても留意していく必要がある。
・第1部では,二次封じ込め設計におけるポイントを説明する。
・第2部では,封じ込め設備での洗浄評価の概要と環境モニタリングについて説明する。
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第1部 二次封じ込め設計 ~生産設備からラボまで~
1. 二次封じ込め~概略
1.1 位置づけ
1.2 説明の前提
2. 封じ込め工程室の仕上げ
3. 封じ込めエリアの室圧と室間差圧
4. エアーロックとパスルーム
4.1 エアーロック
4.2 パスルーム
4.3 パスボックス
5. 空調システム
5.1 空気供給方式
5.2 換気回数
5.3 フィルタ
5.4 空調機械の系統分け
5.5 空気取り入れ口と排気口
5.6 HEPAフィルタの点検用測定口
6. 排気ライン
6.1 空調排気ライン
6.2 封じ込め機器からの排気ライン
6.2.1 アイソレータからの排気ライン
6.2.2 フュームフードからの排気ライン
6.3 プロセス機器からの排気ライン
6.3.1 真空機器からの排気ライン
6.3.2 粉砕機からの排気ライン
6.4 局所排気設備からの排気ライン
7. 更衣
7.1 概論
7.2 個人保護具(PPE)の選定
7.2.1 更衣
7.2.2 グローブ
7.2.3 保護眼鏡
7.2.4 足回り
7.3 脱衣時の手順
8. 更衣室の設計
8.1 概要
8.2 設計のポイント
8.2.1 GMP要件の視点
8.2.2 労働安全衛生の視点
8.2.3 その他
8.3 更衣室のパターン
8.4 実例図の紹介
8.5 使用済み更衣の処理
9. 除塵方式
9.1 概論
9.2 除塵方法
9.3 更衣付着量の確認
9.4 ミストシャワー
9.4.1 ミストシャワーの位置づけ
9.4.2 ミストシャワーを導入する際の要点
9.4.3 ミストシャワーによる効果
10. 呼吸用保護具(RPE)の選定
10.1 位置づけ
10.2 必要とされるタイミング
10.3 実際のRPE製品
10.4 RPEの性能レベルを表す尺度
10.5 リスクベースアプローチによるRPEの選定手順
10.6 留意点
11. 廃液ライン
12. 活性が高くなる場合の対処
13. ラボにおける二次封じ込め
13.1 概論
13.2 ラボにおける二次封じ込め
13.3 ラボにおける定期環境モニタリング
14. 既存改造案件における二次封じ込め
第2部 封じ込め設備の運用管理・保守
1. 洗浄実務
1.1 概要
1.2 交叉汚染の経路
1.3 持ち越し閾値の計算と留意点
1.3.1 計算式
1.3.2 留意点
1.4 目視検査
1.5 伝統的な評価基準の取り扱い
1.6 今後の洗浄バリデーションの具体的な流れ
1.7 洗浄の目標設定
1.8 テストランの回数
1.9 統計的な処理
1.10 洗浄分野でのリスクベースアプローチ適用事例
2. 洗浄評価を巡る今後の課題
2.1 健康ベース曝露限界値に関する課題
2.2 目視検査に関する課題
2.3 テストランの回数
2.4 毒性学専門家の養成
2.5 現場での咀嚼
3. 封じ込め設備での環境モニタリング(薬塵測定)
3.1 環境モニタリングの位置付け
3.2 サンプリングポイントの設定
3.3 モニタリング間隔
3.4 製品非接触部の汚染モニタリング事例
3.5 留意点
4. スピル対策
4.1 概要
4.2 スピルに対する規制
4.3 各種ガイドラインに見る具体的な対応
4.4 医薬品製造現場での対応
5. 設備の保守点検
5.1 封じ込め機器
5.1.1 アイソレータ
5.1.2 封じ込めバルブ
5.2 HEPAフィルタ
6. 廃棄物処理の留意点
7. 洗浄評価および専用化要件についての歴史的経緯
8. 高薬理活性物質の取り扱いに関する経緯
□演習問題・添削□